弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 頻回再犯者|刑の一部執行猶予制度2

<<   作成日時 : 2011/12/05 23:51   >>

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覚せい剤取締法違反で有罪判決を言い渡されるなかには、頻繁に覚せい剤事件での服役を繰り返す人たちがいます。出所後数ヶ月以内に再犯することを繰り返してきた、極端な頻回再犯者や、数年に1回程度の頻度で再犯を重ねる人もあります。
再犯者について考えるに当って、まず、こうした頻回再犯者の実態をみておきたいと思います。私が担当したケースで、覚せい剤取締法違反での前科が最も多かったのは、Aさん(当時69歳男性)で、私が担当した事件が14犯目、他に傷害や暴行など他の罪で5回の有罪判決を受けています。

覚せい剤の少量単純所持・使用に対する量刑は、昭和50年代までは比較的軽く、初犯者に対して懲役6月程度が言い渡されていました。そのため、現在50歳代以上の人たちでは、同種前科が10犯以上のケースも、少数ながらあります。この年齢の頻回再犯者の例として、Bさんのケースをあげてみました。内容はBさんの前科記録からまとめたものです。
その後、覚せい剤問題の深刻化とともに量刑の水準が引き上げられ、近年では、初犯者に対して1年6月程度の刑が言い渡されています。そのため、現在40歳代以下の人たちではおのずと再犯の頻度が抑制されており、仮に60歳まで同じように再犯を重ねたとしても、10犯以上になることはめったにないでしょう。40歳代の頻回再犯者の例として、Cさんのケースをあげています。
Bさんも、Cさんも、覚せい剤を常用するようになってからは、覚せい剤取締法違反で頻繁に逮捕され、有罪判決を受けては刑務所に収容されています。いずれも、営利行為に関わったことはなく、少量の単純所持や使用です。

■Bさん(58歳男性)の場合
高校中退後土木業手伝いを経てトラック運転手に
28歳ころから眠気さましのために覚せい剤を使い始める
少年時(19歳)傷害等で少年審判を受け、保護観察処分を受ける
・ 22歳 傷害等で罰金刑
・ 24歳 業務上過失傷害で罰金刑
・ 26歳 同上
・ 28歳 道交法違反 懲役6月(執行猶予3年)後に執行猶予取消し服役
・ 29歳 道交法違反 懲役5月 仮釈放2月で社会復帰
・ 30歳 覚せい剤取締法違反 懲役6月 満期釈放
・ 31歳 覚せい剤取締法違反 懲役8月 満期釈放 暴力団組員になる
・ 32歳 覚せい剤取締法違反 懲役10月 仮釈放20日
・ 33歳 覚せい剤取締法違反 懲役1年2月 満期釈放(社会復帰時は34歳)
・ 35歳 覚せい剤取締法違反 懲役1年6月 満期釈放(社会復帰時は36歳)
・ 37歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年 満期釈放(社会復帰時は39歳)
・ 39歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年 満期釈放(社会復帰時は41歳)
・ 42歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年4月 満期釈放(社会復帰時は44歳)
・ 45歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年 満期釈放(社会復帰時は46歳)
・ 47歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年6月 満期釈放(社会復帰時は50歳)
・ 50歳 道交法違反 罰金 労役場留置60日
・ 51歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年2月 満期釈放(社会復帰時は53歳)
・ 55歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年8月 
Bさんは、成人してから38年の人生を歩んできましたが、そのうち刑務所に収容されていた期間の合計は19年2月(未決算入があるため刑期の合計とは一致しません)、逮捕されてから刑が確定するまでの未決勾留日数(正式裁判90日、略式30日として計算)の概算合計は4年1月。合計すると23年3か月を留置場、拘置所や刑務所で過ごしたことになります。実に、成人してからの人生の6割以上を刑事施設で過ごしてきたのです。
なお、Bさんは服役中に知り合った仲間の紹介で31歳ころに暴力団組員になりましたが、服役を繰り返すうちに暴力団とも縁が切れ、生活保護を受けて単身生活をしていました。

■ Cさん(43歳男性)の場合
高校中退後家業手伝、暴力団関係なし、実家に両親と同居して生活している
18歳ころから覚せい剤を使い始め、少年時に覚せい剤で保護観察歴あり。
・ 20歳 覚せい剤取締法違反 懲役1年2月(執行猶予4年)後に執行猶予取消
・ 21歳 覚せい剤取締法違反 懲役1年8月 満期釈放(社会復帰時は24歳)
・ 27歳 覚せい剤取締法違反・詐欺等 懲役4年 仮釈放5月(社会復帰時30歳)
・ 33歳 詐欺 懲役1年10月 仮釈放45日(社会復帰時は33歳)
・ 34歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年10月 仮釈放50日(社会復帰時36歳)
・ 38歳 覚せい剤取締法違反 懲役2年4月 仮釈放3月(社会復帰時39歳)
・ 40歳 覚せい剤取締法違反 懲役3年 
Cさんは、成人して間もなく覚せい剤で最初の裁判を受け、執行猶予付き判決を受けたものの、執行猶予中に再び覚せい剤で逮捕されました。施行猶予が取り消された分の刑も含めて服役し、社会復帰したときには既に24歳になっていました。その後は、受刑中に知り合った仲間とともに偽造免許証で金融会社からお金を借りる詐欺等を繰り返し、4年の懲役刑を科されました。
30歳代半ばからは、覚せい剤の少量所持・使用での服役を繰り返しており、回を重ねるたびに言い渡される刑は重くなり、ついに懲役3年になっています。

こうした頻回再犯者の実像を踏まえて、次回はその問題点を検討します。

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