弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 医療用大麻供給所に連邦が閉鎖命令|米国の大麻政策

<<   作成日時 : 2011/10/09 17:34   >>

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前回の記事に続いて、大麻政策をめぐる最近の動きをさらに追います。

Aカリフォルニアの医療用大麻販売店へ連邦が閉鎖命令
10月7日、アメリカでは、カリフォルニア州の医療用大麻政策をめぐるニュースが話題になりました。連邦検察官が記者会見で、カリフォルニア州内で運営する医療用大麻供給所に対して、45日以内に営業を停止しなければ、刑事訴追を受け、財産を没収することになると通知書を送ったと発表したのです。
医療用大麻の供給所とは、俗に、大麻ショップ、大麻薬局などとも呼ばれ、カリフォルニア州法の規定に従って医療用大麻を販売しています。しかし、連邦法は医療用大麻を認めておらず、こうした店舗での大麻供給は、連邦法では重大な違法行為となります。連邦法と州法のハザマで、これまでも連邦政府による医療用大麻の供給所に対する訴追が行われてきました。オバマ政権の誕生以来、連邦側は刑事訴追を見合わせてきましたが、今年6月に連邦司法省は、医療用大麻の供給者や認可を受けた栽培者に対して、連邦の薬物法令やマネーロンダリング法による訴追を行いうるとするメモランダムを発していました。
各社の報道は、その背景にあるオバマ政権の政治状況に言及しています。たしかに、大麻政策はきわめて政治的な色彩を帯びた問題のひとつなのです。

<DEAの報道発表から>*****
●連邦当局は、州内で行われる違法な大麻産業に対する取り締まりを発表
在カリフォルニアの連邦検察官は、記者会見で、カリフォルニア州で行われている商業的な大麻産業に対して、取り締まりを行うと発表した。1996年に医療用大麻の州法が成立して以降、州内で拡大してきた大規模な収益追求型の大麻産業が、取り締まりの重点的な対象となる。取り締まりは、大麻の不法取引に使用される資産等の没収、不動産所有者に対する警告文書、大麻の商業的販売としての刑事訴追、などの方向で行われる。
商業的に大麻を栽培したり、販売する施設の不動産所有者に対して、すでに多数の警告文書が発送された。とくに州の中央部では、大麻販売店が集中していることを知りながら容認してきた不動産所有者に対しては、民事没収訴訟を提起している。
DEA長官は「DEAと関係機関は、州法を隠れ蓑に、大規模な大麻取引を行う犯罪組織と戦う」とコメントしている(記事の概要・私訳)。
2011年10月7日付け 緊急報道発表[1]より
*****

●営利主義という批判
米司法省は、かねてから、取り締まりの対象は医療用大麻の栽培や大量取引を行う者であって、医療用大麻を使用する重病人を刑事訴追するものではないと明言していますが、今回の計画でも、連邦機関は、医療用大麻を認めるカリフォルニア州法を正面から攻撃することを慎重に避けながら、大規模な大麻栽培やいわゆる大麻ショップを経営する事業者を「州法を隠れ蓑に、大規模な営利行為を展開している」と批判しています。(連邦の基本的な姿勢については下記[3]を参照してください。)

では、連邦検察官は、大麻産業のどんな点をとりあげ、どのように批判しているのでしょう。この点について、AP通信社の10月8日付記事が詳しく報道しているので、参照してみましょう[2]。
大麻関連産業の現状を表すものとして取り上げられたのは、オレンジ郡南部のあるショッピングセンターの例ですが、建物2階の11区画のうち8区画までが、いわゆる大麻ショップや医療用大麻使用の資格を得るために必要な診断をしてくれる医師の診療所などで占められていますが、これは大手チェ―ン店やディスカウント店がカリフォルニア州内で展開するチェンストアでは、よく見られる出店モデルだとか。
ロサンゼルス地区を担当する連邦検察官は、医療用大麻を掲げる者のなかには、「カリフォルニアの新ゴールド・ラッシュ」と公言して、利益を追求している者もあるといいます。また、サンフランシスコ湾岸地区を担当する検察官は、医療用大麻の使用を許容するカリフォルニア州法の意図は、重病に苦しむ人たちに非営利ベースで医療用大麻を供給することにあるのだが、しかし、われわれの前にあるのは、重病人のケアを忘れて利益を追求する者たちによってこの州法がハイジャックされている現実だ、と語ります。

2010年にカリフォルニア州で行われた住民投票をめぐる議論でも、多くの識者が、カリフォルニア州での医療用大麻供給の実態が、きわめて商業主義的な展開になっていることについて、危惧を表明していました。非営利事業を建前としながら、大都市の繁華街に立派な店舗を構えるものや、宣伝活動が目立つものなどもあります。
とはいえ、先の住民投票では、大麻合法化に対する賛否がほぼ半々だったカリフォルニア州、連邦による新たな取り締まりに民意はどんな反応を示すのか、今後が気になります。

[参照]
[1]DEA>California’s Top Federal Law Enforcement Officials Announce Enforcement Actions Against State’s Widespread and Illegal Marijuana Industry(October 7, 2011)
http://www.justice.gov/dea/pubs/pressrel/pr100711.html
[2]abcニュース>Feds Vow Crackdown on Calif. Pot Operations (AP)(October 8, 2011)
http://abcnews.go.com/US/wireStory/feds-announce-calif-pot-dispensary-crackdown-14695057
[3]連邦の医療用大麻に対する基本的な態度を示す資料・・・DEA>The DEA Position On Marijuana(January 2011) 
http://www.justice.gov/dea/marijuana_position.pdf

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