弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻栽培罪の場合|英国の量刑ガイドライン3

<<   作成日時 : 2011/04/01 00:29   >>

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英国(イングランド及びウェールズ)で薬物事犯者の量刑ガイドライン作成が進んでいます。一般からの意見聴取のために公表された草案に沿って、薬物犯罪の量刑の決め方をみていきます。
[参照]
量刑委員会の草案:Drug Offences Guideline ―Public Consultation
http://www.sentencingcouncil.org.uk/docs/Drug_Offences_Guideline_Public_Consultation_(web).pdf

今回発表されたガイドラインの特徴は、被告人の立場に応じて科される刑の違いを明確にしていることにあります。たとえば薬物輸入事件の被告人といっても、莫大な利益をもくろむ輸入の首謀者と、わずかな報酬で荷物の運搬を引き受けた運び屋とでは、犯罪に対する責任の重さに差があるのは当然ですが、ここでは、その差が明確にリスト化されているわけです。
ガイドライン草案から、大麻の栽培の例で具体的な量刑をみておきます。

● 大麻栽培における被告人の立場
ガイドラインは、不法薬物の製造・大麻栽培罪における被告人の立場を概略次のように分類しています。
[事業栽培者]
多額の資金を投下して水耕栽培などの装置を備えて営利目的で極めて大量の大麻を栽培する者。たとえば、倉庫を使って水耕栽培装置で100本の大麻草を栽培した者に対する量刑は、「事業規模の栽培×主導的立場」として、拘禁5年を基準点に計算する。
[栽培係]
栽培計画の首謀者に雇われ、その指示を受けて植物に水遣りなどをする。わずかな報酬で100本の大麻の世話をした者に対しては、「事業規模の栽培×従属的立場」として、拘禁1年を基準点に計算する。
[自己使用分の栽培]
他人に販売や無償譲渡せず、自分で使う目的で少量の大麻草を栽培する者。たとえば3−4本の大麻草を自己使用のために栽培した場合は、「ごく少量の栽培×従属的立場」として、Cバンド罰金(週給の125%−175%相当額)が基準点となる。

●量刑の基準点と加算・減算
量刑の計算は、まず、基準点を定め、ここから足し算と引き算を行い、最終的には下表の「科刑の幅」の範囲内の刑を決めることになります。量刑に加算または減算する要素としては、前科の存在など法で定めたものと、いわゆる情状があります。プラスの情状、マイナスの情状としてあげられている項目は、わが国とほぼ共通していますが、学校や公共的施設の周辺で行われた薬物犯罪に対して厳しい加算がある点は、わが国にはない欧米の特徴です。

また、大麻栽培罪に限定した、刑を加算する要素として、次のようなものがあげられています。
・ 不法な配線などで電力を不正に使用
・ 水耕栽培など高度な設備を備えた大規模栽培
・ 販売目的に合致した状況
・ 収益のレベル

↓クリックで表が拡大します
画像
*コミュニティ命令
薬物センターへの参加や社会奉仕命令などを義務付けるもの。下級、中級、上級の3ランクに応じて科される活動の時間が異なる。
*罰金
Aバンド:週給の25%−75%相当額  Bバンド:週給の75%−125%相当額
Cバンド:週給の125%−175%相当額


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イギリスでは2004年に、大麻の実質非犯罪化になるクラスCへの格下げがありましたが、下がった量刑は禁固2年以下だったと聞きます。我々日本人の感覚では、それでは非犯罪化とは言わないのですが、彼の国では「禁固5年以上の犯罪でないと逮捕に値しない」とありました。つまり、禁固2年以下の犯罪である大麻の所持では逮捕はされない、ということです。逮捕されないので非犯罪化の成立です。
ちなみに、クラスCになっても、密売人などには禁固14年の刑罰が科せられていました(非犯罪化は個人使用の範囲)。

しかし、ここまで量刑を細分化しているわけですから、「禁固5年以上は、、、」というような暗黙のルールまで継承しているとは思えません。
とはいえ、細分化された量刑をみてみると、クラスBになったのにクラスCより厳しくなったようには見えません。クラスCを細分化したように見えます。

これはどういうことでしょうか。ブラウン政権で、半ば強引に大麻をクラスBに戻そうとしたときも、警察も含め各方面から反対意見が聞かれました。
実際はクラスBに戻されても、扱いはクラスCのままなのではないか、という憶測も広がりましたが、実質どうなのでしょうか。この量刑の細分化は、そういうことを現しているのでしょうか。
日鷲
2011/07/09 16:54

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