弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大学生の大麻事件|大学はどう対処すればいいのだろう

<<   作成日時 : 2010/07/07 00:04   >>

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<ニュースから>*****
●県立広島大が大麻取締法違反で有罪の学生を退学処分 /広島
県立広島大は、大麻取締法違反罪で先月25日、広島地裁から懲役8月、執行猶予3年の判決を受けた人間文化学部4年の男子学生(23)を退学処分にした。処分は2日付。
(毎日新聞広島版7月6日朝刊 YAHOOニュースより)
********

まず、上の報道だけで、事件の内容も、この学生の学業や大学生活の状態もわからずに、この学生に対する大学の処分について論ずるのは、無茶な話です。ですから、あくまでも一般論として、このニュースに触発されて、大学生と大麻事件について再び語ってみたいと思います。

●刑事裁判が執行猶予を付した意味
前科のない若者が、大麻の所持などの犯罪で有罪判決を受ける場合、多くは執行猶予付き判決を言い渡され、刑の執行を猶予された状態で社会復帰します。執行猶予は、犯罪者の自発的更生を促すものと理解されているのです。
私が若者の薬物事件を担当する際に、執行猶予付き判決が期待できるケースであれば、一刻も早く元の生活環境に戻して、緊張感をもって生活再建に立ち向かわせることを、最重要課題としています。刑事事件を起こして逮捕され、有罪判決を受けるということは、若者にとっては大きなプレッシャーです。私たちは、これを「判決の感銘力」と呼びますが、うまく作用すれば、その後の生活に緊張感を維持する力ともなります。
大切なのは、自力での再挑戦。そのチャンスさえ奪ってしまうことは、自力更生の道を閉ざすことにつながりかねません。

●若年大麻事犯者の実態
警察庁が発表している『平成21年中の薬物・銃器情勢』によれば、最近の大麻事犯者の特徴を次のようにまとめることができます。この人たちにとって、自力更生はそれほど困難な目標ではないと、私には思えてなりません。彼らに必要なのは、処分ではなく、再挑戦するチャンスではないでしょうか。
@再犯リスクは高くない
大麻事犯検挙者の84.8%が初犯者。つまり、大麻事犯では再犯者がごく少ないということができます。ちなみに、覚せい剤事犯者では初犯者の割合は42.0%と、検挙者の過半数が再犯者で占められています。
A若年層が過半数を占める
大麻事犯検挙者の特徴として、少年及び20 歳代の若年層の構成比率が高いことが挙げられます。平成21年では、大麻事犯検挙者の63.6%が少年及び20 歳代の若年層によって占められています。
B検挙者のほとんどが単純所持事犯
平成21年中に大麻事犯として検挙されたのは、全国で2,920人。犯罪態様別でみると、その72.6%が所持違反によるものです。私たちはこれを「単純所持」と呼びますが、営利目的ではなく、自分で使うつもりで大麻を所持していたというものです。一般に、所持していた大麻の量は多いものではなく、私の経験では、乾燥大麻で1グラム以内というケースが典型的です。
[出典]警察庁刑事局組織犯罪対策部薬物銃器対策課編『平成21年中の薬物・銃器情勢・確定値』6-8頁

●薬物乱用者に必要なのは処罰ではないという考え方
国連薬物犯罪事務所が最近発表した『世界薬物報告書2010』には、薬物問題の解決には、刑罰ではなく、トリートメントが中心的な役割を果たすべきだという主張がこめられています。同報告書の報道発表で、事務総長は「薬物依存者は投獄されるのではなく、トリートメントに送られるべきだ。」と発言しているのです。
トリートメントtreatmentという言葉は、「治療」とか「処遇」と訳されます。世界では、薬物使用者に対して、病院で行われる医療的な措置に限らず、再教育的な処遇や、社会生活をしながら定期的な尿検査を受けるといったプログラムまで、多様な手法でトリートメントが行われています。
欧米では、末端の薬物使用者に対して拘禁刑を科すことはもはや主流ではなく、また薬物犯罪に対して厳罰で対処しているアジアの諸国でも、末端の薬物使用者に対しては、刑事罰とは異なるトリートメント策で対処する制度を確立している例は少なくないのです。
わが国では、末端の薬物使用者に対しても、厳格な処罰を科すことが、薬物抑止策の主要な柱になっていますが、世界には、別な考え方もあるということも視野に入れておきたいものです。

ありがたいことに、日本の社会は薬物にそれほど汚染されていません。大学生のほとんどは薬物に触れることもなく、若い時期を通り過ぎています。でも、この環境が、私たち日本人の心に、薬物問題の解決を他人任せにする習性を植えつけてしまったようです。問題が起きたら「司直に任せ」、「司法判断を待って」と対応策を先送りし、「有罪判決が出たから」と切り捨てて一件落着。これで、いいのでしょうか。
たしかに、若者が刑事事件に関わってしまうとき、そのほとんどはイージーな生活に流されてしまっています。彼らの日常には、大麻に限らず、いくつかの問題が起きているかもしれません。でも、学園を混乱させ、他の学生に害を及ぼすほどの問題を起こしているケースはまれです。やり直しのチャンスが与えられないとしたら、あまりに過酷な処分ではないでしょうか。
有罪判決の感銘力を心に刻み込んで、キャンパスに戻ってくる学生に対して、大学はどのように対処すべきか、そろそろ自立的な基準を確立しなければならない時期です。大学とは、未完成な若者を預かってたしかな大人に育て上げる場であるべきだと、私は期待しています。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
過疎化問題、沖縄基地と沖縄の経済問題。大麻解禁地区にすればすべて解決。観光だけでやっていけます。
さらに沖縄大麻大学(仮称)を設立すれば、大麻と共に向学心に燃える若者達の受け皿にもなります。卒業後は県内の各種大麻施設に就職してもらうので、内定問題などとも無縁になります。
沖縄県民にも大麻に嫌悪感を持つ人はいると思いますが、嫌なら県外へ移住してもらえばいい話です。場合によっては強制退去させてもいいでしょう。
チャンドラ(本物)
2010/07/08 14:59
ほんとに大学はそれそろ方向転換をするべきだと思います。これまで積み上げてきたものが一瞬にして崩れさってしまうのですから。
太郎
2010/07/10 17:53
県外移住を強制でとか言いよるの気に入らなんので書き込みします。ほいじゃったら逆に、今現在、大麻に愛着のある人間を強制で退去される事も有りだと分かった上でケチ付けよるんかいのぉ?「気に食わんのら見るな」みたいなアホ抜かす連中もおりますが、ほいじゃったら誰でも見える場所に書き込みすなっ!と、言ってあげたい。コイツ筆頭に麻薬解禁論を無責任に説いとるモンが多いみたいですが、お前ら合法にならんと満足出来ん程度の愛好家なんかい?中途半端な正義振り回しやがって。この俺の怒りをどう責任取れるんなら!公の場で違法行為を勧めるんなら、1から全部責任取れや。あと、オドレら全員このサイトに個人情報乗っけて私は大麻吸ってますって書き込めや。そこまでやるのが筋と違うんかい。散々麻薬拒否者をバカにしよって。筋違いもええ所じゃ。あと、違法行為を勧めとるモン全員『幇助』に当たらんのかいのぉ。俺みたいなアホには分からんけど、『幇助』に該当する事を祈ります。
コデイン中毒
2010/07/10 18:39

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