弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS NIDAの研究レポート|大麻を理解する6

<<   作成日時 : 2010/04/19 22:23   >>

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中断していた大麻の連載を一区切りしておきましょう。
大麻を理解していただくために、アメリカの国立薬物乱用研究機関The National Institute on Drug Abuse(NIDA)が公開している情報から、研究報告シリーズ「大麻乱用」の一部を私の個人的な翻訳で紹介しています。
今回紹介する部分は、大麻使用の社会的影響に関する研究成果のまとめです。こうした研究は、対象者の抽出や比較軸の設定などによって結果が大きく変わることもあり、しばしば研究手法が批判されたり、必ずしも安定したものばかりとはいえないようですが、とりあえず、NIDAが取り上げている内容をそのまま紹介します。
[出典]
●NIDAのサイト http://www.nida.nih.gov/index.html
●研究報告シリーズ「大麻乱用」NIDA Research Report‘Marijuana Abuse’ 
http://www.nida.nih.gov/ResearchReports/Marijuana/default.html

NIDA研究報告「大麻乱用」3
●大麻使用は、学校生活、職場生活、社会生活にどのような影響を及ぼすか。
大麻を喫煙する学生は、喫煙しない学生と比べて、成績がふるわず、ハイスクールを中退することが多いようだ[20,45,46,47]。
大麻を喫煙する労働者は、同僚と比較して、仕事上の問題を抱えることが多いようだ。いくつかの研究は、労働者の大麻喫煙と欠勤、遅刻、事故、労災保険の請求、退職の増加を関連付けている。郵便所業労働者に関するある研究では、雇用前の尿検査で大麻に陽性を示した労働者は、大麻陰性だった労働者に比べて、労働事故が55パーセント多く、負傷は85パーセント多かった[48]。
抑うつ[18]、不安[18]、パーソナリティ障害[50]は、すべて大麻使用と関係している。研究は、大麻使用には、日常生活での問題を引き起こしたり、人がすでに抱えている問題を悪化させる可能性があることを明確に示している。大麻は、情報を記憶したり想起する能力を危うくするので、人は、大麻を多く使用するほど、知的、職業的、社会的スキルの蓄積に遅れをとることになりやすい。認識に関するある研究では、アイオワ式テストの基本的スキル検査で、第4学年(小学4年)レベルに相当する結果になった成人のグループがある。彼らは、アイオワ式テストの第12学年(高校3年)版を含む一連の認識測定によって評価された。数学技能および言語表現では、大麻のヘビーユーザーは、非喫煙者と比較して、明らかに低い点数であった[9]。
さらに、研究によって、記憶や学習に対する大麻の悪影響は、この薬物による急性の作用が消失した後も、数日あるいは数週間にわたって続き得ることが明らかになった。たとえば129人の大学生を対象とした研究では、大麻のヘビーユーザー(先行する30日間に少なくとも27日以上大麻を喫煙した人たち)では、彼らが少なくとも24時間にわたって大麻を使用せずにいた後でも、注意、記憶および学習の限界的スキルは際立って損なわれていることがわかった[33]。この研究では、大麻のヘビーユーザーには、先行する30日間の大麻使用が3日以内の被験者に比べて、注意力の維持や変更、情報の登録、組織化、利用において、さらに多くの問題があった。結果として、人が大麻を日に1回喫煙すると、その知的レベルは常に減退した状態にあるということになるかもしれない。同じ研究班が最近、長期にわたる大麻のヘビーユーザーのリストから言葉を思い出す能力は、大麻使用から1週間にわたって損なわれるが、4週後には通常に回復するという結果を示した[51]。この発見は、長期にわたる大麻使用の後でも、大麻使用をやめるなら、認識機能のあるものは回復可能であることを意味している。
別の研究は、脳に対する大麻の影響は、限界的なライフスキルの累積的な低下を長期にわたってもたらし得るという、さらなる根拠を生み出した。研究者たちは、第8学年(中2)時に問題解決および情動的なスキルを検査する一連の検査を行い、第12学年(高3)時に再び検査した[52]。その結果は、第8学年ですでにアルコールを飲み大麻を喫煙していた学生は、検査開始時にはやや劣っていたものが、ハイスクールの上級時には、2グループの差が顕著に開いていた。分析によれば、大麻使用は、アルコール使用の如何に関わらず、自己強化の能力(個人が確信を維持し、辛抱強く目標を達成することを可能にする一連の心理的スキル)を減退させることにつながるとしている。
大麻使用者自身は、人生の満足や達成の多様な手段がうまくいっていないと報告している。最近の研究では、現在の大麻使用者、過去に長期間ヘビーユーザーだった人たちと、これまでの大麻使用が1回以上50回以下という対象群との比較を行った。彼らの生育家庭の教育程度や収入が似たものであったにもかかわらず、ヘビーユーザーと対象群には、学業成績と収入で顕著な差異がみられた。大麻使用者のうちで、大学を修了した者はわずかで、家計収入が3万ドル(300万円)以下の者が多かった。彼らの認識力、キャリア形成、社会生活、身体や精神の健康に大麻がどのような影響を及ぼしたか質問したところ、大麻のヘビーユーザーの圧倒多数が、こうしたすべての面で、この薬物の有害な影響を報告した[53]。

[20] Brook, J.S.; Balka, E.B.; and Whiteman, M. The risks for late adolescence of early adolescent marijuana use. Am J Public Health 89(10):1549-1554, 1999.
[45] Lynskey, M.; and Hall, W. The effects of adolescent cannabis use on educational attainment: A review. Addiction 95(11):1621-1630, 2000.
[46] Kandel, D.B., and Davies, M. High school students who use crack and other drugs. Arch Gen Psychiatry 53(1):71-80, 1996.
[47] Rob, M.; Reynolds, I.; and Finlayson, P.F. Adolescent marijuana use: Risk factors and implications. Aust NZ J Psychiatry 24(1):45-56, 1990.
[48] Zwerling, C.; Ryan, J.; and Orav, E.J. The efficacy of preemployment drug screening for marijuana and cocaine in predicting employment outcome. JAMA; 264 (20): 2639-43, 1990.
[18] Brook, J.S.; Rosen, Z.; Brook, D.W. The effect of early marijuana use on later anxiety and depressive symptoms. NYS Psychologist January:35-39, 2001.
[50] Brook, J.S.; Cohen, P.; and Brook, D.W. Longitudinal study of co-occurring psychiatric disorders and substance use. J Acad Child and Adolescent Psych 37(3):322-330, 1998.
[9] Block, R.I., and Ghoneim, M.M. Effects of chronic marijuana use on human cognition. Psychopharmacology 100(1-2): 219-228, 1993.
[33] Pope, H.G., and Yurgelun-Todd, D. The residual cognitive effects of heavy marijuana use in college students. JAMA 275(7):521-527, 1996.
[51] Pope, H.G.; Gruber, A.J.; Hudson, J.I.; Huestis, M.A.; and Yurgelun-Todd. D. Neuropsychological performance in long-term cannabis users. Arch Gen Psychiatry 58(10):909-915, 2001.
[52] Scheier, L.M., and Botvin, G.J. Effects of early adolescent drug use on cognitive efficacy in early-late adolescence: A developmental structural model. Journal of Substance Abuse 7(4):397-404, 1996.
[53] Gruber, A.J.; Pope, H.G.; Hudson, J.I.; and Yurgelun-Todd, D. Attributes of long-term heavy cannabis users: a case-control study. Psychological Medicine 33:1415-1422, 2003.

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