弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS NIDAの研究レポート|大麻を理解する5

<<   作成日時 : 2010/04/17 19:36   >>

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前回に引き続き、大麻を理解していただくために、アメリカの国立薬物乱用研究機関The National Institute on Drug Abuse(NIDA)が公開している情報から、研究報告シリーズ「大麻乱用」の一部を私の個人的な翻訳で紹介しています。
[出典]
●NIDAのサイト http://www.nida.nih.gov/index.html
●研究報告シリーズ「大麻乱用」NIDA Research Report‘Marijuana Abuse’ 
http://www.nida.nih.gov/ResearchReports/Marijuana/default.html

NIDA研究報告「大麻乱用」2
●大麻使用は精神保健にどのような影響を及ぼすのか
大麻使用によって、タバコ喫煙をやめることが難しくなることがわかっている[38]。これは、タバコだけを喫煙する成人と、大麻とタバコの両方を喫煙する成人を比較した研究で報告されている。追跡面接の13年前に行われた初期の面接調査時点では、大麻を日常的に喫煙している人たちでは、大麻使用と喫煙の継続との関係は特に強い。
450人を対象とした研究では、大麻を頻繁に喫煙するがタバコを吸わない人たちは、喫煙しない人たちと比較して、健康上の問題をより多く抱え、また欠勤する日も多いことがわかった[39]。この研究で、大麻喫煙者が非喫煙者より多く欠勤した日の多くは、呼吸器の疾患によるものであった。
頻繁とはいえない大麻使用でも、口腔やのどの炎症や痛みを引き起こすことがあり、しばしばひどい咳き込みもみられる。定期的に大麻を喫煙する人は、日常的な咳き込みやタン、急性の胸の疾患、肺感染症の危険性が高くなったり、気道がつまりやすいといった、タバコ喫煙者と同じような呼吸器の障害を持っている[4]。
気道と肺のガンも、大麻喫煙によって促進される可能性がある[4]。173人のガン患者と176人の健常人の比較研究では、大麻は頭部や首のガンの発症可能性を拡大しやすく、また大麻の使用が多いほどこの拡大は大きくなるという、強力な根拠が得られた[17]。このデータの統計分析は、大麻喫煙が、こうしたガンのリスクを2倍から3倍に高めていると示唆されている。
大麻は刺激性物質や発ガン性物質を含んでいるため、肺やその他の呼吸器のガンを促進する可能性がある[40]。実際、大麻の煙は、タバコの煙より50から70パーセント多い発ガン性炭化水素を含有している[41]。またそれは、特定の炭化水素を発ガン性のある形態に転換するある種の酵素を高レベルで作り出し、最終的には悪性細胞を生み出す変化を加速させるおそれもある[42]。大麻の使用者は、通常、タバコ喫煙者よりも深く吸い込み、息を長く止めておくが、これは、肺を発ガン性のある煙により多くさらすことになる。こうした事実は、大麻の一服はタバコを吸うよりも、ガンの危険性を高めることになると示しているといえるだろう。
大麻によって健康に対する悪影響が起きることがあるかもしれない。というのは、感染症やガンと戦う免疫システムの能力をTHCが損なうからである。人と動物の細胞に、THCあるいは大麻成分を暴露した研究室での試験では、免疫細胞の主要なタイプの多くで疾病予防反応が損なわれた[16]。別な研究では、THCあるいはその関連物質の暴露を受けたマウスは、暴露を受けていないマウスよりも、バクテリア感染や腫瘍を起こしやすかった[14,43]。
ある研究は、人が大麻を喫煙した直後の1時間では、心臓発作のリスクが通常の4倍になることを示した[44]。研究者たちは、心臓発作の起きる原因の一部は、大麻が血圧を上昇させ、心拍を増加させ、血液の酸素運搬能力を低下させることによる可能性があるとしている。
画像

↑脳の奥にあるかたつむり状の器官が海馬。図でHippocampusと表示されている部分
NIDA Research Report: Marijuana Abuseより転載

●大麻、記憶、および海馬
大麻が短期記憶に及ぼす損傷は、記憶の形成をつかさどる脳の部位である海馬の、情報を処理する方法をTHCが変更してしまうことによって起きていると思われる。THC処理された研究室のラットは、短期記憶を必要とする課題の達成において、海馬の神経細胞を破壊された後のラットと同様の能力低下を示した[66]。加えて、THC処理されたラットは、厳密に、この薬物が海馬内の細胞の通常の機能をもっとも妨害していた時点で、課題達成に最大の困難を示した。
人が年をとると、通常は海馬の神経細胞が失われ、物事を想起する能力が減退する。慢性的なTHC暴露は、加齢による海馬の神経細胞の減少を加速するかもしれない。ある一連の研究では、8ヶ月(ラットの寿命のおよそ30パーセントにあたる)にわたって毎日THCを暴露されたラットは、生後11月め、12月めで検査したところ、神経細胞の減少は、暴露を受けていない動物では倍の年齢のものと同程度であった[67,68,69]。

[39]Polen, M.R; Sidney, S.; Tekawa, I.S.; Sadler. M.; and Friedman, G.D. Health care use by frequent marijuana smokers who do not smoke tobacco. West J Med 158:596-601, 1993.
[4] Tashkin, D.P. Pulmonary complications of smoked substance abuse. West J Med 152:525-530, 1990.
[17] Brook, J.S.; Rosen, Z.; Brook, D.W. The effect of early marijuana use on later anxiety and depressive symptoms. NYS Psychologist January:35-39, 2001.
[40] Sridhar, K.S.; Raub, W.A.; Weatherby, N.L., Jr.; Metsch, L.R.; Surratt, H.L.; Inciardi, J.A.; Duncan, R.C.; Anwyl, R.S.; and McCoy, C.B. Possible role of marijuana smoking as a carcinogen in the development of lung cancer at a young age. Journal of Psychoactive Drugs 26(3):285-288, 1994.
[41] Hoffman, D.; Brunnemann, K.D.; Gori, G.B.; and Wynder, E.E.L. On the carcinogenicity of marijuana smoke. In: V.C. Runeckles, ed., Recent Advances in Phytochemistry. New York: Plenum, 1975.
[42] Cohen, S. Adverse effects of marijuana: Selected issues. Annals of the New York Academy of Sciences 362:119-124, 1981.
[16] Adams, I.B.; and Martin, B.R. Cannabis: Pharmacology and toxicology in animals and humans. Addiction 91:1585-1614, 1996.
[14] Zhu, L.X.; Sharma, M.; Stolina, S.; Gardner, B.; Roth, M.D.; Tashkin, D.P.; and Dubinett, S.M. Delta-9 tetrahydrocannabinol inhibits antitumor immunity by a CB-2 receptor-mediated, cytokine dependent-pathway. J Immunology 165(1):373-380, 2000.
[43] Klein, T.W.; Newton, C.; and Friedman, H. Microbial infections, immunomodulation, and drugs of abuse. Clin Microbiol Rev 2003, April 16 (2):209-19.
[44] Mittleman, M.A.; Lewis, R.A.; Maclure, M.; Sherwood, J.B.; and Muller, J.E. Triggering myocardial infarction by marijuana. Circulation 103:2805-2809, 2001.
[66] Heyser, C.J.; Hampson, R.E.; and Deadwyler, S.A. Effects of delta-9-tetrahydrocannabinol on delayed match to sample performance in rats: Alterations in short-term memory associated with changes in task-specific firing of hippocampal cells. Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics 264(1):294-307, 1993.
[67] Landfield, P.W.; Cadwallader, L.B.; and Vinsant, S. Quantitative changes in hippocampal structure following long exposure to delta-9-tetrahydrocannabinol: Possible mediation of glucocorticoid systems. Brain Res 443(1-2):47-62, 1988.
[68] Eldridge, J.C.; Murphy, L.L.; and Landfield, P.W. Cannabinoids and the hippocampal glucocorticoid receptor: recent findings and possible significance. Steroids 56:226-230, 1991.
[69] Landfield, P.W.; Waymire, J.C.; and Lynch, G. Hippocampal aging and adrenocorticoids: quantitative correlations. Science 202:1098-1101, 1978.

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http://www.nida.nih.gov/DrugPages/Alcohol.html

http://www.nida.nih.gov/DrugPages/Nicotine.html

アルコールとタバコについての当サイトの記事を読むとどちらも信じられない程人体に有害。
法律屋さんには是非人体に有害と記述されている物質の全面禁止に動いて欲しいですね。
bystander
2010/04/17 22:05

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