弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS NIDAの研究レポート|大麻を理解する4

<<   作成日時 : 2010/04/16 02:55   >>

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中学生の大麻事件が次々と報道されています。中高生の大麻乱用が話題になる中で、子どもたちに大麻をどう教えるか、悩んでおられる方も少なくないと思います。残念ですが、大麻に関して、具体的な参考資料がごく限られ、教える人たち自身がこの薬物を理解することに困難を感じておられるようです。
大麻をしっかり理解していただくために、アメリカの国立薬物乱用研究機関The National Institute on Drug Abuse(NIDA)が公開している情報から、今回は、研究報告シリーズの「大麻乱用」の一部を紹介します。この資料は、大麻使用のもたらす健康への影響について、科学研究の結果を踏まえて、充実した内容を盛り込んだものです。
その主要な部分を私の個人的な翻訳で紹介します。
画像

[出典]
●NIDAのサイト http://www.nida.nih.gov/index.html
●研究報告シリーズ「大麻乱用」NIDA Research Report‘Marijuana Abuse’ 
http://www.nida.nih.gov/ResearchReports/Marijuana/default.html

NIDA研究報告「大麻乱用」1
●大麻は脳にどのような影響を及ぼすか?
大麻が脳でどのように活動し様々な作用を生み出すのか、科学者たちは多大な研究をしてきた。
人が大麻を喫煙すると、THCは速やかに肺を経由して血流に入り、脳を含む身体の各器官へと運ばれる。脳では、THCは、神経細胞にあるカンナビノイド受容体と呼ばれる特定の部位と結合し、この細胞の活動に影響を及ぼす。脳には、カンナビノイド受容体が多数みられる領域と、ほとんどみられない領域がある。脳の、喜びや記憶、思考、集中、知覚、時間感覚などに関係する領域には多数のカンナビノイド受容体がみられる[27]。

●大麻使用の急性の影響とは?
大麻を喫煙すると、この薬物が脳に達してすぐにその作用が現れ始め、1〜3時間程度持続する。大麻を食品や飲料にまぜて摂取した場合は、短期的な影響は、通常30分から1時間程度してから緩やかに始まり、4時間程度とより長時間持続する。大麻を喫煙した場合は、飲食した場合と比べて、血液中に数倍のTHCを取り込むことになる[28]。
大麻タバコを吸い込んで2、3分以内に、使用者の心臓の鼓動は急激に早くなり、気管支は弛緩して拡大し、目の血管が膨張して目が赤くなる。心拍数は、通常は70〜80だが、1分当たり20〜50程度増加し、場合によっては、倍増する[15]。他の薬物を大麻と併用すると、この作用はさらに強いものとなる[29]。
THCが脳に達すると、脳の報酬システムに作用して、使用者は多幸感、あるいは「ハイ」を感じる。報酬システムとは、様々な乱用薬物や飲食物などの刺激に対応する脳の領域のことである。THCは、他のほとんどすべての乱用薬物と同じように、脳細胞を刺激してドパミンという脳内化学物質を放出させて、報酬システムを活動させる [30,31,32] 。
大麻使用者は、快感を経験し、色彩や音が強く感じられ、時間の経過はきわめてゆっくりと感じられることになるだろう。使用者は口の渇きを覚えたり、突然ひどく空腹になったりのどが渇いたりすることもある。手が震えて冷たくなることもある。陶酔感がしばらく続いた後、眠くなったり、不機嫌になるかもしれない。ときには、大麻使用は不安や恐怖、猜疑心、あるいはパニックを引き起こすこともある。
大麻の大量使用は、記憶の形成、物事の想起(次回に掲載の大麻と記憶、海馬についてを参照)や、あるものから別のものへ注意を移行させる能力を損なう[8,33]。またTHCは、バランスや姿勢、動きの同調、反応時間などを調整する脳の領域である、小脳や基底神経節にあるレセプターに結合することによって、バランスや同調を乱す[11]。脳や身体に対してこのような影響を及ぼすことで、大麻による影響が事故を引き起こす場合もある。
研究は、死亡事故による犠牲者の6から11パーセントが大麻テストで陽性であったことを示唆している。こうしたケースの多くでは、アルコールもともに検出されている[34,35,36]。全国高速道路安全局によって行われた研究では、大麻単独の中用量投与で運転能力の損傷がみられたが、しかし、低用量の大麻であってもアルコールと併用した場合には、大麻単独の高容量投与と比べて、著しく大きな影響があった[37]。運転に関する測定インデックスリストには、反応時間、視覚探査頻度(運転手が道路の両脇を確認すること)、他の車両の相対的な速度変化に対応した知覚及び/又は反応能力が含まれている。
多量の大麻を摂取したユーザーは、急性中毒によって、幻覚、妄想、人格感の喪失―人格あるいは自己のアイデンティティ喪失―などを含む精神症状を経験する場合がある[10,15]。これらの症状を引き起こした原因は特定されていないが、大量の大麻を喫煙した場合より、食物や飲料として摂取した場合では、より頻繁に起きているように思われる。

[28] Ohlsson, A.; Lindgren, J.E.; Wahlen, A.; Agurell, S.; Hollister, L.E.; and Gillespie, H.K. Plasma delta-9 tetrahydrocannabinol concentrations and clinical effects after oral and intravenous administration and smoking. Clin Pharmacol Ther 28(3):409-416, 1980.
[15] Gilman, A.G.; Rall, T.W.; Nies, A.S.; and Taylor, P. (eds.). Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Edition. New York: Pergamon Press, 1998.
[29] Foltin, R.W.; Fischman, M.W; Pedroso, J.J.; and Pearlson, G.D. Marijuana and cocaine interactions in humans: cardiovascular consequences. Pharmacol Biochem Behav 28(4):459-464,1987.
[30] Chen, J.P.; Paredes, W.; Li, J.; Smith, D.; Lowinson, J.; and Gardner, E.L. Delta 9-tetrahydrocannabinol produces naloxone-blockable enhancement of presynaptic basal dopamine efflux in nucleus accumbens of conscious, freely-moving rats as measured by intracerebral microdialysis. Psychopharmacology 102:156-162, 1990.
[31] French, E.D. Delta-9 THC excites ret VTA dopamine neurons through activation of cannabinoid CB1 but not opioid receptors. Neurosci Lett 226:159-162, 1997.
[32] Leshner, A.I., and Koob, G.F. Drugs of abuse and the brain. Proc Assoc Amer Physicians 111(2):99-108, 1999.
[8] Fletcher, J.M.; Page, J.B.; Francis, D.J.; Copeland, K.; Naus, M.J.; Davis, C.M.; Morris, R.; Krauskopf, D.; and Satz, P. Cognitive correlates of chronic cannabis use in Costa Rican men. Archives of General Psychiatry 53:1051-1057, 1996.
[33] Pope, H.G., and Yurgelun-Todd, D. The residual cognitive effects of heavy marijuana use in college students. JAMA 275(7):521-527, 1996.
[11] Ameri, A. The effects of cannabinoids on the brain. Prog Neurobiol 58(4):315-348, 1999.
[34] Mason, A.P., and McBay, A.J. Ethanol, marijuana, and other drug use in 600 drivers killed in single-vehicle crashes in North Carolina, 1978-1981. J Forensic Sci 29(4):987-1026, 1984.
[35] Williams, A.F.; Peat, M.A.; Crouch, D.J.; Wells, J.K.; and Finkle, B.S. Drugs in fatally injured young male drivers. Public Health Report 100(1):19-25, 1985.
[36] Cimbura, G.; Lucas, D.M.; Bennett, R.C.; and Donelson, A.C. Incidence and toxicological aspects of cannabis and ethanol detected in 1,394 fatally injured drivers and pedestrians in Ontario (1982-1984). J Forensic Sci 35(5):1035-1041, 1990.
[37] National Highway Traffic Safety Administration (NHTSA) Notes. Marijuana and alcohol combined severely impede driving performance. Annals of Emergency Medicine 35(4):398-399, 2000.
[10] Graham, A.W.; Schultz, T.K.; and Wilford, B.B. (eds.). Principles of Addiction Medicine, 2nd Edition. Chevy Chase, MD: American Society of Addiction Medicine, Inc., 1998.
[15] Gilman, A.G.; Rall, T.W.; Nies, A.S.; and Taylor, P. (eds.). Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Edition. New York: Pergamon Press, 1998.

<当ブログの過去の記事>
アメリカの国立薬物乱用研究機関The National Institute on Drug Abuse(NIDA)が公開している情報から、NIDAインフォファクト「大麻」の内容(抜粋)を私の個人的な翻訳で紹介した記事があります。
・NIDAの大麻資料から|大麻を理解する1
  http://33765910.at.webry.info/201003/article_11.html
・NIDAの大麻資料から|大麻を理解する2
  http://33765910.at.webry.info/201003/article_12.html
・NIDAの大麻資料から|大麻を理解する3
  http://33765910.at.webry.info/201003/article_14.html

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
精神活性薬物は非常に作用に個人差があることを付け加えておきたい。
大麻の真実を教えれば教えるほど、子供に大麻を止めさせることができなくなる。
コーラやコーヒーといったカフェインを含むものさえ止めさせなければならない。
問題なのは大麻を摂らなければならないほど、子供たちはストレスにさらされてる環境下にいるということです。
シンジケート
2010/04/16 06:19
<教師が大麻草について知るべきこと12条>
1.大麻草は、ただの植物である。
2.大麻草は、繊維をとる品種と薬になる品種の2つがある。
3.繊維をとる品種は、神社の鈴縄、凧糸、下駄の鼻緒、麻織物、横綱の化粧回し、弓弦、花火の火薬、茅葺屋根の材料、七味唐辛子の一味など日本文化を支える植物として栃木県などで栽培されている。
4.薬になる品種は、猛毒・有毒だと1930年頃に考えられてアメリカ主導で世界的に規制された植物である。
5.日本で大麻草が規制されたのは、第二次世界大戦後の1948年からで、アメリカの薬物政策に従っただけ。
6.薬になる品種が、猛毒・有毒だと思われいたが、その後の研究により、コーヒーのカフェイン並みで、合法化されている煙草やお酒の方が危険で、社会的損失(肺がんや交通事故)が大きいことがわかった。(築地書館発行「マリファナの科学」等を参照)
7.今の中高生・若者に大麻草が必要なのは、脳内マリファナ(内因性カンナビノイド)の分泌が足りない可能性が高い。
8.分泌が足りなくなるほど、ストレス社会・不安に悩む中学生・高校生が多いのかもしれない。
9.大麻草の成分には、抗不安作用があり、精神安定させる効果が経験的に知られている。西洋医学では、精神疾患系に有害・無害を含めて盛んに研究されているテーマの一つ。
10.大麻草はただの植物にも関わらず、使ってしまたらそれは悪いことだ!と一方的に親・警察・教師・マスコミ・行政・弁護士が上から目線で語るのが一番の問題。
11.1〜9のことを議論して、本音でこの植物を語らない限り、子どもたちから大人の世界は信用してもらえない。
12.この手の議論ができない日本は、沖縄基地、原子力、外国人移民、CO2削減、等の難しい問題に対応できる能力が著しく低いと思うのは私だけだろうか?
ヘンプ55
2010/04/16 11:31
何度もお手数かけます。

未成年に対する逸脱した冒涜および名誉毀損に値します。
上のふたつは削除お願いします。
チャンドラ(本物)
2010/04/20 01:07
精神依存並びに肉体的依存の可能性が非常に低いと言うWHOの見解は書かないのですか?

偏向記事ですね(笑)
通りすがり
2015/03/26 02:04

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