弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻栽培アセスメント2009|アメリカの公的資料

<<   作成日時 : 2010/03/04 23:52   >>

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薬物問題に新しい局面をもたらしている問題のひとつとして、国内で広まる大麻栽培をあげることができます。
大麻は、北米やヨーロッパなどいわゆる先進諸国で多く使用されますが、こうした大消費地に向けて、外国産の大麻が大量に密輸されてきました。従来、アメリカに大麻を供給してきたのはメキシコであり、ヨーロッパには地中海地域や中東、アフリカから乾燥大麻や大麻樹脂がもたらされてきました。

ところが、近年になって、この需給構造が大きく様変わりし始めているといわれます。変化を生み出している要因は、国内産大麻の増加。
カナダやイギリス、オランダなど北方に位置する国では、主に室内で栽培される大麻。アメリカでは西部や南部地域で屋外栽培される大麻と、北部の各州を中心に室内栽培される大麻が、急激に増加していると推定されています。

国内産大麻の急増は、いずれの国においても、これまでの薬物取締りの枠組みを揺るがしかねない存在になっていますが、それが薬物市場にどのような変化をもたらすのか、まだはっきりしたことはわかりません。高THC品種が多く栽培される結果として国内に出回る大麻の平均的なTHC含有の上昇が観測されています。また、大麻の供給量が増え、大麻使用率が上昇するのではないかといった懸念もあります。そのいっぽう、既存の薬物犯罪組織への資金流入が減少するのではないかという見方や、じか栽培によって薬物使用者が犯罪組織と接触することがなくなるという観測をする人もあります。
とはいえ、すべてが、まだ推測でしかありません。いま必要なことは、まず実態を正確に把握すること。
こうした考え方から、いろいろな国で、いま、国内産大麻に対する状況分析や統計の試みが開始されているのです。押収大麻のTHC分析や価格分析、地域別の栽培摘発の統計など様々な方法で、その実態把握が行われています。

そのひとつに、アメリカの国立薬物情報センターNATIONAL DRUG INTELLIGENCE CENTERと司法省が実施している、国内の大麻栽培の現状を把握する活動があります。これは、DEAなどの取り締まり機関が実施している栽培大麻の除去報告などに基づいて、アメリカ合衆国内で行われている大麻栽培の現状をまとめるものです。
その2009年版の報告書『国内における大麻栽培の状況分析2009』を通じて、アメリカでの大麻栽培の状況と、これに対する政府の取り組みをみていきたいと思います。
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[出典]
Domestic Cannabis Cultivation Assessment 2009
NATIONAL DRUG INTELLIGENCE CENTER / U.S. DEPARTMENT OF JUSTICE
National Drug Intelligence Cente Publication Date: July 2009
http://www.justice.gov/ndic/pubs37/37035/index.htm

●概況
大麻の栽培は人目を避けて、小規模な耕地や個人の宅地、あるいは室内で行われるため、国内で栽培される大麻の量を正確に把握することはきわめて困難です。また、大麻の売買は違法であり取締りの対象となっているため、国内に流通している大麻の総量も把握されていません。この事情は、アメリカに限らず、ほとんど全ての国で共通です。
本書は「合衆国内で出回る大麻の量に関する正確な試算はなく、合衆国で取引される大麻の総量は不明である。記録的な除去成果にもかかわらず、供給や価格への影響は限定的なものであり、合衆国内での大麻の入手可能性は比較的高い状態が続いている。(1頁)」と、総量の掌握はできないながらも、大量の除去成果も市場にたいして影響を及ぼしていないところからみると、その総量はかなりの規模に達するという観測を示しています。

本書では、国内産大麻の量を推定する指標として、取り締まり当局によって摘発され、除去される栽培大麻の数を取り上げていますが、DEAの集計によれば、その数は年々飛躍的に増加し、2008年では室内栽培では約45万本、屋外栽培では約756万、合計で約801万本が摘発され、除去されました。
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↑室内及び屋外の栽培拠点で除去された大麻の本数(2004〜2008年)
本書3頁より転載

また、ミシガン大学の研究チームでは押収された大麻のTHC測定を続けていますが、その結果によると、過去20年来、大麻の平均的な効力は上昇しており、2008年には記録的なレベルに達したことが報告されています。
本書は次のように分析しています。「年を追って上昇してきたこの上昇の一部は、屋外及び室内栽培の技法の発達によると考えることができる。密売人たちが、厳しさを増した屋外栽培拠点の摘発を避け、また高品質大麻によって高い利益を得ようとしている結果、室内での大麻栽培は依然として高レベルである。」(1頁)

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