弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 国際麻薬統制委員会(INCB)2009年次報告書|医療用大麻に対する国連の見解

<<   作成日時 : 2010/03/31 21:57   >>

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国際麻薬統制委員会(INCB)の2009年次報告書から、もうひとつ、医療用大麻に関する項目を読んでおきましょう。アメリカでは、医療用大麻を許容する州法をもつ州があるいっぽう、連邦はあらゆる大麻を禁止しています。この問題に関して、アメリカ国内でのコンセンサスはまだ確立していません。
では、国連はこの問題をどのようにとらえているのか。2009年次報告書は、第2章「国際協力による薬物管理システムの運用」のなかで、「医療あるいは科学的用途での大麻の使用」としてこの問題を取り上げていますので、該当箇所を私の個人的な翻訳で紹介します。

●医療あるいは科学的用途で使用される大麻
61 大麻は1961年の麻薬に関する単一条約においてスケジュールTとWに含まれている。スケジュールWの物質は、とくに乱用されやすく、また多大な害をもたらしやすいと考えられる。

62 数年来、大麻あるいは大麻抽出物の医療における有用性に関して、数か国で科学的な研究が行われてきた。当委員会は、過去の報告書でも述べたように、大麻あるいは大麻抽出物の医療における有用性に関する健全な科学的研究を歓迎しており、利用可能な場合には、当委員会やWHO、国際社会とともに、このような研究成果を共有することをあらゆる関係政府に求める。当委員会は、その有用性に関する適切な科学的確認を待たずに、大麻の医療目的使用を許可した政府があることを懸念している。

63 1961年の麻薬に関する単一条約の第28条によると、大麻植物の栽培を許容する国は、同条約23条に規定された国の大麻機関を設立するよう求められている。その機関は、栽培を行うことのできる地域を指定して栽培者に免許を交付し、その作物の物理的な所有権を引受け、その卸売りや在庫管理を独占しなければならない。あらゆる麻薬と同様、単一条約の締結国は、当委員会に対して、年度ごとに大麻に関する収穫予測と統計報告書を提出する義務を負っている。

64 締約国が、大麻植物の栽培規制に対して科されている措置の適用に失敗すれば、大麻が不法ルートに転用されることになり得る。当委員会は、すべての政府が、単一条約が規定する大麻に対する規制措置を確実に遵守するよう努めることを要請する。

[出典]
●International Narcotics Control Board (INCB)
  http://www.incb.org/
●Report of the International Narcotics Control Board for 2009
  http://www.incb.org/incb/en/annual-report-2009.html

医療用大麻の問題は、薬物コントロールにとって、のどに刺さった小骨のような存在。困惑しながら、態度を決めかねているうちにも、状況はどんどん変化しているようです。
とりあえず麻薬統制委員会は2009年次報告書において、各国に、国家機関による大麻栽培の管理を徹底するよう求めていますが、あくまでも「とりあえず」の要請であると私には思えました。
なお、上記のパラグラフ63について、簡単に補足しておきます。1961年の麻薬単一条約は、その第28条で大麻の統制について定め、同条約があへんの管理に関して定めた規定(23条)に準じて、国の機関によって管理するよう定めています。
第28条 大麻の統制
1 締約国は、大麻又は大麻樹脂の生産のための大麻植物の栽培を許すときは、大麻植物につき、けしの統制について第23条に規定する統制制度と同様の統制制度を適用しなければならない。
2 この条約は、もっぱら産業上の目的(繊維及び種子に関する場合に限る。)又は園芸上の目的のための大麻植物の栽培には、適用しない。
3 締約国は、大麻楠物の悪用及び不正取引を防止するために必要な措置を執るものとする。(1961年の麻薬に関する単一条約より)

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