弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS NIDAの大麻資料から|大麻を理解する1

<<   作成日時 : 2010/03/13 17:39   >>

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3月14日加筆
下線の部分に、idiosyncrasyさんが正確な訳文をつけてくださいましたので、ご提案いただいたものに書き換えました。ありがとうございます。
*****

大きな書店にいくと、若者向け書籍のなかに大麻に関する本が何冊も並んでいます。インターネット上にも、多くの情報があります。それにもかかわらず、大麻がよくわからないという声もしばしば聞こえてきます。
大麻は世界のほとんどの地域で青少年が最も乱用している薬物で、様々な問題の焦点になり、また議論の対象になっている薬物です。大麻の健康影響に関しては、膨大な研究がされており、その結果も次々に発表されています。
大麻についてよく知るためには、こうした研究の結果を踏まえておくことが大切です。いま、何が実証されているのか、解明しようと研究が進んでいるのはどんな点なのか、といったことを理解しておきたいものです。
大麻を理解するための資料として、私がよくお勧めしているのは、アメリカの国立薬物乱用研究機関The National Institute on Drug Abuse(NIDA)の情報です。インターネット上で公開されている情報ですが、最新の研究結果を反映して頻繁に改定されている、信頼性の高いものだと思います。

●NIDAインフォファクト「大麻」
薬物と健康に関する最新の研究成果を踏まえた情報として提供されているのが、このインフォファクトInfoFacts・シリーズで、NIDAのサイトで公開されています。
インフォファクト「大麻」は、大麻の健康への影響を中心にまとめた一般向けの資料です。この資料は、最新の研究データの公開に沿って頻繁に改定されており、現在公開されているものは2009年6月に改定された版です。
この資料を私の個人的な翻訳で、何回かに分けて紹介します。医学用語なども多数出てくるので、できるだけ注意深く、また日本人にとってわかりやすく翻訳するつもりですが、誤りや不完全な箇所も出てくると思います。お気づきの点はどうぞご指摘ください。
画像

●NIDAのサイト http://www.nida.nih.gov/index.html
●インフォファクト「大麻」 
Home > Drugs of Abuse/Related Topics > Marijuana > InfoFacts > Marijuana
http://www.nida.nih.gov/infofacts/marijuana.html

<この資料について>
NIDAのサイト内の説明によるとこの資料はパブリックドメインで公開され、著作権が設定されておらず、引用、複製が可能とありますので、原著を翻訳して公開します。

NIDA インフォファクツ:大麻
大麻はアメリカで最も乱用されている不正薬物です。大麻草(カンナビス・サティバ)の葉を刻んだものや花穂、茎、種子などが混った緑色や褐色の乾燥植物です。大麻の主な活性成分はデルタ−9−テトラヒドロカンナビノール;THCです。

大麻の使い方
乾燥大麻は普通、紙巻き(ジョイント)やパイプを使って喫煙されます。葉巻をほぐして大麻に詰め替えたブラントという形で使われることもあります。ブラントはタバコの葉で巻いているので、大麻の活性成分とニコチンや他の有害成分を一緒に摂取することになります。大麻を食品に混ぜたり、お茶のように煎じることもあります。大麻の成分を樹脂状に濃縮したものが大麻樹脂(ハシシ)で、粘りのある黒い液状のものが液体大麻(ハッシュオイル)です。大麻の煙は、独特の刺激性のある、甘酸っぱいにおいがします。

大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか
THCが脳内で働いてその作用を生み出すしくみについて、これまでに膨大な科学研究が行われてきました。人が大麻を喫煙すると、THCは肺から速やかに血管に運ばれ、脳や身体中の器官に達します。
THCは、脳のカンナビノイド受容体という特定の細胞に作用し、一連の細胞活動によって、ユーザーが大麻を吸ったときに感じるいわゆる「ハイ」な状態を生み出します。脳の部位によって、カンナビノイド受容体が多い部分と、少ない部分があります。脳内で最も多くのカンナビノイド受容体が集中しているのは、喜びや記憶、思考、集中、時間の認識や感覚、協調運動などをつかさどる部分です[1]。
大麻の作用によって、知覚がゆがみ、協調運動が損なわれ、思考や問題解決が困難になり、学習や記憶に問題が生じることは、当然でしょう。研究によれば、大麻の急性の作用が消失した後も、数日から数週間にわたって、学習や記憶に大麻のマイナス影響が及んでいることが示されています[2]。その結果、大麻を毎日喫煙する人は、常に最善とはいえない知的状態にあるといえるかもしれません。
大麻乱用の長期的な影響に関する調査研究では、脳に、他の主要な薬物を長期的に使用した場合と同じような、ある種の変化が生じることがわかっています。たとえば、慢性的に大麻を与えた動物でみられる大麻の退薬症状では、ストレス対応システムが活性化し[3]、ドパミンを含む神経細胞の働きに変化がみられました[4]。ドパミン神経系は、意欲や報酬をつかさどり、あらゆる薬物乱用に直接的に、あるいは間接的に影響を及ぼしています。

依存性
長期的な大麻使用は依存を形成することがあります。つまり、大麻使用が家庭や学校、職場、余暇活動などに悪影響を及ぼすとわかっているにもかかわらず、強迫的な薬物使用や探索行動などを起こすことがあるわけです。長期的な大麻使用者は、使用をやめようとすると、イライラしたり、不眠になったり、食欲が減退したり、不安や薬物への渇望を感じ、そのためにやめることが難しいと言っています。こうした退薬症状は、薬物使用を中断して1日ほど経ったときに始まり、2〜3日間のピークがあり、1〜2週間以内に治まります[5]。

大麻と精神保健
多くの研究によって、慢性的な大麻使用と、不安、うつ、自殺念慮、統合失調症などの危険性の増加と関係があるとことが示されています。こうした研究の中には、大麻を使った年齢が重要な要因であるとしたものがあります。つまり、最初に使用した年齢が若いとその影響を受けやすく、後年になって様々な問題があらわれるということです。しかし、現時点では、大麻使用が精神的な問題を引き起こし、悪化させるかどうかは明らかではなく、また、既存の症状を自己治療するために使用されるかどうかもはっきりしません。慢性的な大麻使用は、とくに若年者の場合、遺伝的な要因や、若年でストレスや暴力を受けてきたといった環境要因などに根ざした嗜癖行動を含む精神疾患の危険性をあらわすマーカーであると考えられます。現時点では、最も有力なエビデンスが大麻使用と統合失調症及びそれに関連する障害とを関連づけています[6]。多量の大麻摂取は急性の精神的な反応をもたらし、さらに、この薬物の使用は、影響を受けやすい要因をもつ人では、統合失調症を発症させたり、再発させる引き金となります。

出典
[1]Herkenham M, Lynn A, Little MD, et al. Cannabinoid receptor localization in the brain. Proc Natl Acad Sci, USA 87(5):1932–1936, 1990.

[2]Pope HG, Gruber AJ, Hudson JI, Huestis MA, Yurgelun-Todd D. Neuropsychological performance in long-term cannabis users. Arch Gen Psychiatry 58(10):909–915, 2001.

[3]Rodríguez de Fonseca F, Carrera MRA, Navarro M, Koob GF, Weiss F. Activation of corticotropin-releasing factor in the limbic system during cannabinoid withdrawal. Science 276(5321):2050–2054, 1997.

[4]Diana M, Melis M, Muntoni AL, Gessa GL. Mesolimbic dopaminergic decline after cannabinoid withdrawal. Proc Natl Acad Sci, USA 95(17):10269–10273, 1998.

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自分ならこう訳します(6の箇所)。
At the present time, the strongest evidence links marijuana use and schizophrenia and/or related disorders.
現時点では、最も有力なエビデンスが大麻使用と精神分裂病及びそれに関連する障害とを関連づけている。
idiosyncrasy
2010/03/13 20:19
精神分裂病→統合失調症でした。
idiosyncrasy
2010/03/13 20:23

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