弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS コーヒーショップはなぜ削減されるのか2|大麻供給店の問題

<<   作成日時 : 2010/02/11 23:29   >>

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前回に引き続き、昨年秋に発表された、オランダ政府の薬物政策の今後の方針を示唆する報告書「オランダの薬物政策の新たな強調点―薬物政策諮問委員会報告書」を参照しながら、大麻供給店をめぐる問題点と、今後のあり方を考えます。なお、今回の参照箇所は、報告書の19―24頁目です。
[出典]NEW EMPHASIS IN DUTCH DRUGS POLICY―Report of the Advisory Committee on Drugs Policy(11 September 2009)
http://www.minvws.nl/includes/dl/openbestand.asp?File=/images/new-emphasis-in-dutch--drugs-policy-vd-donk-_tcm20-187405.pdf

●大麻販売の容認と薬物犯罪組織の関係
オランダの大麻容認政策には、社会にマイナス影響を及ぼした側面もあると、この報告書は率直に認めています。コーヒーショップでの大麻販売を容認してきたことは、一面では、「ソフトドラッグ(大麻)にはそれほど問題がない」という認識を広めたことは否定できず、取り締まりの重点はハードドラッグに置かれ、大麻栽培や大麻の売買に対する取り締まりはとかく軽視されがちだったとしています。その結果、商業的に行う大規模な大麻栽培が起こりました。国際的な犯罪組織によって運営される栽培施設もあります。オランダで大規模に栽培される大麻は、組織犯罪の活動と結びつき、国内だけでなく外国へも流通しています。
コーヒーショップで販売される大麻も変化してきたと、報告書は指摘します。かつて、ハームリダクションの理念を掲げて開設された初期のコーヒーショップは小規模なもので、小規模な個人栽培家から大麻を仕入れ、限られた顧客に少量を供給していました。それが今日では、大規模な企業体が経営するコーヒーショップもあり、大規模栽培者から商品を仕入れることが主流になりました。大規模栽培される大麻の中には、農薬や成長促進剤などを使用しているものもあり、大麻使用者の健康を脅かしているといいます。
コーヒーショップのあり方を再検討すべき時を迎えていると、報告書は示唆します。

●全面禁止でもなく、合法化でもない道
大麻政策とそれに連動したコーヒーショップ政策の今後を検討する道として、大麻もコーヒーショップも全面的に禁止するというものから、全面的に合法化するというものまで、ここでは6つの政策モデルが示されていますが、そのなかで、全面禁止はいまさらありえず、合法化という選択肢にも問題が多いというのが、報告書の提言です。
今後の指針となるモデルとして示されている方向のひとつは、あらかじめ登録した顧客に限定して大麻を販売するというクローズド形式のタイプ。現行のコーヒーショップは、成人であればだれでも顧客としてコーヒーショップを利用し、大麻を買うことができるのですが、顧客を制限することでドラッグツアーの問題を解消することができ、しかも、大規模経営による弊害も押さえ込むことが可能になるわけです。会員制のクラブというモデルも提示されています。
今後のあり方として示されているのは、顧客を制限し、販売規模を縮小する、つまりコーヒーショップをスケールダウンすること。スケールダウンすることで、これまで不明確だったコーヒーショップの大麻仕入れに対する規定を明確化し、犯罪組織や大規模栽培者からの仕入れを規制することも可能になると、報告書は言います。現行のコーヒーショップ政策では、顧客に対する販売は明確に規定され、規定に沿う限りは刑事訴追を免れることが約束されていますが、大麻の仕入れに関する規定を欠いており、たてまえから言えば、大麻の売買は違法行為とされているのです。

●スケールダウンは成功するのか
さて、報告書が提示する今後のコーヒーショップのあり方を読んで、私はカリフォルニアの大麻ショップ問題を思い起こしています。近年ロサンゼルスの中心街に続々オープンしている大麻ショップが象徴しているように、カリフォルニアの医療用大麻供給所は、オランダのコーヒーショップと比較して、はるかに商業的な色彩が強いといわれ、成り行きに任せておけば急激な増加を見るだろうと観測されています。
オランダの薬物政策諮問委員会がこの報告書で指摘しているように、地域社会に大麻の販売店の存在を容認することで、一定のマイナス影響が生じることは否定できないでしょう。
マイナス面を最小に押さえ込む管理政策を早く確立しなくてはと、他国のことながら気になっています。
ところで、オランダのコーヒーショップは、営業上の制約を受けてはいるものの、成人なら誰でも利用できるオープン形式の販売店です。いっぽうカリフォルニアの大麻ショップは、形式上は、医療用大麻を利用する患者の協同組合であり、クローズド形式の販売店ということになります。販売店の営業モデルとは、たてまえと実態の間でとかくギャップが生じやすいもの。スケールダウンが成功するかどうかは、むしろ、行政側の指導や取り締まりパワーの投入にかかっているといえるでしょう。
コーヒーショップのスケールダウン、今後の動向に注目しておきましょう。

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これらの報告は政府の発表であり、実際は議会も自治体も市民も、その70%がコーヒーショップ削減反対の意見をもっています。オランダ人は、「今の政権はキリスト教保守系だから、大麻に対してネガティブ。コーヒーショップ本来の、非合法組織から使用者を切り離すという役割を、コーヒーショップ無しでどう対策をとるのかのビジョンはまったくない」と言います。
そもそも非合法組織から大麻を仕入れているのも、それまで懇意にしていた個人の栽培者が、政府の政策で大量逮捕されたのがその遠因。
一面だけでは全体像は見えません。
日鷲
2010/03/27 15:52

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