弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻合法化の影響は?|ニューヨーク・タイムズの特集から

<<   作成日時 : 2009/11/04 22:54   >>

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カリフォルニア州で大麻の合法化が具体的な検討に入っていることから、アメリカのメディアは頻繁に大麻問題の特集を組んでいます。そのひとつ、ニューヨーク・タイムズの7月19日付のデイベートを紹介します。「もし大麻が合法化されたら、依存が増えるか?」と題した紙上討論ですが、その冒頭に、パネラーとして5名の専門家が見解を述べており、大麻合法化のいろいろな側面が現れています。
大麻の合法化というと、特定の主張を掲げて運動しているグループだけの議論と受け取られがちですが、けっして一部の人だけのものではなく、多くの学識者や実務家を巻き込んで語られてきた、大きなテーマです。実はアメリカでも過去数十年にわたって、大麻の合法化討論は続けられてきており、その蓄積の上で、いまこうした議論がされているわけです。いまアメリカでは、「大麻合法化」というテーマで何が語られているのか、5人の専門家の意見は、決して単純なものではありません。
なお、ここでは、パネラーの発言の一部を取り出して、その概要をお伝えします。細かいニュアンスまで紹介できないので、できれば、原文をお読みください。
出典:The New York Times> If Marijuana Is Legal, Will Addiction Rise?
http://roomfordebate.blogs.nytimes.com/2009/07/19/if-marijuana-is-legal-will-addiction-rise/

●より正直であらねばならない
米国では、大麻の自由化に対して積極的な傾向が強まっているが、その方法には2つある。
第一は「合法化」で、適法な栽培と販売をふくむもの。第二は「非犯罪化」で、少量の所持に対する刑罰を廃止しながら、栽培や販売に対する刑罰を維持するものである。
大麻が「非犯罪化」されたら、より多くの人が大麻を使うようになるだろうか。おそらく、そうはならない。合衆国での研究の多くが、非犯罪化は成人および少年の大麻使用率を上昇させることはないという結果を示している。では、大麻が「合法化」された場合はどうか。誰も断言はできない。
オランダの「コーヒーショップ」の例は、われわれにヒントを与えてくれる。オランダの事実上の合法化は、それ自体では、成人でも少年でも大麻の使用率の上昇を招かなかった。しかし、コーヒーショップの数が増加したときには、若年者の大麻使用率が上昇した。当時は、コーヒーショップに立ち入ることのできる年齢は16歳であった。その後、コーヒーショップの数が削減され、立ち入ることにできる年齢が18歳になり、使用率は低下した。合法化の検討は、大麻使用によってもっとも傷つきやすい子どもや少年をいかにして保護するかという、綿密な計画を含んでいなければならない。
私は、大麻所持に対して刑罰に代替する手段を講じることを支持しているが、しかし、こうした討論をするには、我々はもっと正直になるべきだ。大麻の合法化を支持する者たちは、大麻は無害だというのをやめるべきだ。無害ではないのだから。大麻所持を犯罪としておくべきだと信じる者たちは、成人の機会的使用者の大半が大麻の害を受けていないことを認識しなければならず、また所持を犯罪として取り締まることが、その害を避ける最良の手段だということをデータをもって示す必要がある。
ロジャー・ロフマンRoger Roffman(ワシントン大学ソーシャルワークの教授)

●依存の問題を比較衡量する
「大麻合法化」とは何かによって、その影響も異なってくる。
拘禁刑を罰金刑に置き換えることを想定するなら、「合法化」は依存者の増加につながることはないであろう。もし大麻の使用、栽培、販売を合法化するという意味であれば、近代国家でこのようなことを試みた例がないので、その影響を予見するのは困難である。
大麻の使用と販売を合法化すれば、より多くの人がこれを使用し、おそらく大麻依存も増加することになると考えるのが常識だろう。しかしながら、どの程度増加するかについては、合法化された市場において使用を削減するような変動要素が不確定であるため、推定するのは困難である。たとえば、課税によって価格を調整して使用機会を削減すること、含有するTHCの規制、未成年者への販売制限、パッケージに健康への警告を記載することなど。
これらの可能性を考慮すれば、合法化された市場が大麻依存の増加にどの程度寄与するかを推定することは、困難となる。大麻依存の問題は、大麻を何らかの方法で合法化することを検討する際には、考慮しなければならないが、また同時に、現行制度の抱える負の担要因―より強力な大麻の創出や、法制度の軽視につながる大麻規制の広範な無視などと比較衡量することも必要である。
ウェイン・ホールWayne Hall (クィーンズランド大学(オーストラリア)公衆保健スクールの公衆保健の教授)

次回へ続く

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ありのままの海外での大麻に関する報道をご紹介いただけることは、大変有り難いことです。「真実よりも、金の流れに右ならえ」の日本のマスコミ報道より1000倍価値のあるご活動ですね。
大麻検挙数が増えているからといって、ただただ危機感ばかりを煽り「では大麻とは?」という本質をおざなりにしている日本のマスコミは小森弁護士を見習うべきです。

アメリカはもとよりイギリスも大麻使用者が多く、ある意味日本よりも大麻に対する過剰な偏見が一般論として少ないので、このような本質に迫った議論が可能なのでしょう。では日本では大麻使用者がそれほどでもないから、大麻に関してどんなにネガティブな情報も流していいかというと、それでは隣国のチベット・ウイグル問題と全く同じになってしまいます。
事実に基づいた具体的効果的な薬物対策がこの国には足りません。
司法改革
2009/11/05 11:03
神の化身です
天使
2009/12/13 16:04
とても勉強になります。
私は日本で大麻の合法化を実施することは、時期総称だと思います。
国際条約にも抵触する怖れがありますし。

しかし個人使用を刑事罰の対象から除外し、医療大麻を合法化する措置は直ちに必要であると考えます。

なぜならそれは人権問題であるからです。
野中
2009/12/14 00:35
>国際条約にも抵触する怖れがありますし。
参考までに,どんな国際条約に抵触する怖れがあるのか教えてください.
chandoramama
2010/01/11 15:40

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