弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻栽培の予備罪での摘発を積極化

<<   作成日時 : 2009/10/04 00:36   >>

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●大麻事件:「栽培予備」で積極摘発 種子所持に罰則なく
大麻事件の急増を受け、全国の警察や厚生労働省の麻薬取締部が、これまでほとんど適用例がなかった大麻取締法の「栽培予備罪」を積極的に活用し、大麻種子の所持者の摘発に乗り出していることが分かった。同法は種子の所持自体に罰則がないため、インターネットを通じ「観賞用」名目での種子販売が横行している。警察などは、照明器具や植木鉢を用意するなど栽培環境を整えている場合は栽培予備罪に当たるとみなし、積極的に事件化することにした。
警察庁によると、栽培予備罪(3年以下の懲役)での検挙者は07年まではほとんどいなかったが、08年は関東地方を中心に30〜40人を検挙。09年は7月までに約30人を検挙しており、昨年同期比2.5倍のペースという。同法は大麻草の所持▽栽培▽譲り受け▽譲り渡し▽輸出入に罰則を設けているが、種子自体には有害成分が含まれていないため、種子の所持には罰則規定がない。また種子が七味唐辛子の原料などにも使われているため、厚労省は「法改正で所持を処罰するのは難しい」としている。
捜査関係者によると、種子はネットで1粒1000〜5000円で販売されているが、「観賞目的だけで種子を購入するとは考えにくい」(捜査関係者)として、照明器具や植木鉢、肥料、栽培マニュアル本を用意するなど栽培目的が疑われる場合は栽培予備罪で摘発する方針で臨んでいる。福岡県警は今年2〜5月、ネットで種子を購入した33人の自宅などを栽培予備容疑で家宅捜索。その結果、飲食店経営者ら13人が乾燥大麻を隠し持っていたことが判明、同法違反(所持)容疑で現行犯逮捕した。
一方、関東信越厚生局麻薬取締部も今年初めて、茨城県の男性や愛知県の会社員ら3人を栽培予備容疑で書類送検した。ネットで種子販売サイトを運営し、早稲田大学生らに販売したとして同法違反(栽培)ほう助などの容疑で08年に逮捕された男の顧客を捜査する過程で3人が浮上した。男の顧客は延べ約2100人いて、同部と警察は今年1月以降、栽培予備容疑で約150カ所を家宅捜索、栽培や所持容疑による50人以上の逮捕につなげた。栽培予備容疑での検挙者は、「栽培まではしていないので違法性は高くない」などの理由で多くが起訴猶予処分になっているとみられる。
毎日新聞 2009年9月28日 15時00分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090928k0000e040066000c.html?inb=yt

大麻取締法は、第24条で大麻の栽培、輸入、輸出に対する罰則を7年以下の懲役、営利目的での違反に対しては10年以下の懲役、又は情状により300万円以下の罰金を併科するとし、また、第24条の4で、これらの予備に対しては3年以下の懲役と定めています。
予備罪に関する規定は、営利目的加重規定などとともに平成2年の改正で付け加えられたもので、この改正によって大麻取締法が定める罰則が他の薬物規正法とほぼ同様のものとなりました。
なお、麻薬及び向精神薬取締法では、輸入、輸出、製造または麻薬原料植物の栽培に予備罪の規定があり、覚せい剤取締法でも、輸入、輸出、製造に予備罪の規定がありますが、これらは大麻取締法に先立って定められています。

さて、大麻取締法が規定する栽培罪とその予備罪について、『大コメンタール薬物五法』に基づいて、簡単にまとめておきましょう。
栽培とは、播種から収穫に至るまでの育成行為をいいます。たとえば播種を行おうとする行為、移植をしようとする行為を開始した時点で、実行の着手が認められ、播種や移植がなされた時点で既遂に達するとされます。
予備とは、実行の着手に至らない準備行為をすることをいい、(輸入、輸出や)栽培の罪を犯す目的でその予備行為をすることによって、予備罪が成立します。(古田佑起ほか「大麻取締法」64〜99頁、古田佑起ほか編『大コメンタール薬物五法』青林書院、1996)

たとえば種を撒こうとして、土をならし、種子を取り出したりすることが、実行行為の着手にあたります。そのまま種を撒いてしまえば、栽培の既遂。しかし、実行に着手したけれど、播種する前に中止したような場合は未遂となるわけです。
予備とは、具体的に播種に取り掛かる前の準備行為、つまり、大麻を栽培するつもりで、植木鉢や用土、栽培マニュアル、そして大麻の種子など、栽培に向けて必要なものを取り揃える行為がこれに当たるでしょう。こうした準備が、大麻を栽培する目的で行われたものかどうかは、外形から判断されることになるでしょう。つまり、用具、情報、種子が揃っていることや、とくに大麻栽培に好適な用具が選定されていることなどによって、大麻を栽培する目的があったと判断されるわけです。

なお、大麻取締法は、大麻の栽培、輸入、輸出に関して予備罪を規定していますが、他の違反には予備罪の規定はありません。

[関連記事]
このニュースは、昨年から話題になってきた大麻の種子の規制に関する一連のニュースのいわば続報です。
大麻の種子がインターネットなどを通じて販売され、大麻草を栽培する例が増えたことから、大麻の種子に対する取締りのあり方に関心が集まりました。大麻取締法は、種子を規制対象外においていることから、これを入手したり所持する行為を直接取り締まることは困難で、世論には、性急にも大麻取締法を改正して、大麻の種子を規制すべきだとする声もありました。
当ブログでは、この問題を重点的に取り上げ、関連情報を紹介するとともに、私なりの見解を具体的に述べてきました。私は、性急な法改正によっていたずらに取締りを強化することは、大麻栽培の問題解決の道ではないと考えてきました。
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