弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 連邦法と州法のギャップは埋まるのか|アメリカの大麻合法化問題1

<<   作成日時 : 2009/10/30 00:23   >>

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カリフォルニア州で大麻に対する課税法案(一般には大麻の合法化法案と呼ばれています)が検討される中で、アメリカ合衆国はいま、連邦法と州法のギャップが話題になっています。連邦は、一切の大麻使用を違法とするいっぽう、医療用途での大麻使用を許容する州法のある州があり、そこでは、医師の処方などによって医療用に大麻を使用する人や、介護者として大麻を提供する人に対して、刑事訴追されることがないよう、保護することを定めているのです。
2週間ほど前、この問題に関してちょっとしたニュースがありましたが、伝えそびれていたので、簡単に触れておきます。

アメリカ合衆国司法省は、10月19日、大麻に関する新しいガイドラインを公式に表明しました。メディアは、このガイドラインによって「連邦は、医療用大麻を容認する州法を遵守している限り、医療用大麻の使用し、処方し、流通する者を刑事訴追しないと表明した。」と伝えていますが、それほどシンプルではないかもしれません。
司法省が発表したガイドライン(メモランダム)は、これまで不透明だった医療用大麻に対する刑事訴追のあり方を示したもので、大筋では、医療用大麻を許容する各州法を尊重しているように思われます。しかし、「ガンなどの重大な疾患があり、治療計画の一部として、州法にのっとって大麻を使用する個人、及び、明白かつ確実に州法に沿って、こうした患者に大麻を供給する介護者」に対する刑事訴追は行われないとしていますが、「他方では、営利目的で不法に大麻を売り出し、販売する事業者に対する刑事訴追は、依然として法執行の優位に置かれている。」としているのです。読み方によっては、これまでとあまり変わっていないようにも思えます。
Memorandum for Selected United State Attorneys on Investigations and Prosecutions in States Authorizing the Medical Use of Marijuana
http://blogs.usdoj.gov/blog/archives/192

連邦の薬物取締りを担ってきたDEA(連邦麻薬取締局)は、22日にステートメントを発表しました。DEAは基本的にこのガイドラインを「歓迎する」としながらも、「このガイドラインは大麻を合法化するものではない。」としています。ステートメントにおいてDEAは「大麻の医療目的使用を許容する州法を遵守している重大な疾患を持つ人たちを標的にするのは、DEAの職務ではない。大麻などの危険な薬物を不法に栽培し、売り、流通させる犯罪組織や個人を捜索する我々の活動は、司法省のガイドラインに沿ったものである。」と表明しており、まだ態度を一部保留しているようにみえます。
DEA Statement on New Department of Justice Marijuana Guidelines
http://www.justice.gov/dea/pubs/pressrel/pr102209.html

一般の見方は、「これで大麻をめぐる連邦法と州法のせめぎあいは決着する」と楽観視に傾いているようですが、はたして今後どのような成り行きになるのでしょうか。まだしばらくは、動向をみていかないと、先行きは読めないようです。

さて、世界は今、大麻問題とどう向き合うか、揺れ動き、真剣に悩んでいます。この動きは、決してアングラな世界の話題ではなく、アメリカ合衆国の政治の表面に現れている問題であり、大手マスメディアは盛んにこの話題を追っています。
私たちは、こうした世界の動きを確実に視野に入れて、薬物問題を語らなければならないのです。さあ、どうするニッポン。

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>それほどシンプルではないかもしれません。

単純に、医療大麻と、不法な流通を明確に分けて規制し、医療大麻について、オバマ政権は、ブッシュの立場から反転し、連邦当局に対して、州法に従う医療大麻使用者と供給者を逮捕・起訴しないことを命じた、ということでしょう。
野中
2009/10/30 02:39

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