弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 政府の強い意思|英国の大麻規制2009年の変更3

<<   作成日時 : 2009/04/23 02:13   >>

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別な記事でまとめたとおり、2009年1月に英国(UK)では大麻規制を変更して、大麻をクラスBに引き上げました。
すでに述べたように、この分類変更は、政府の強い意思を反映して実施されたもので、薬物政策を担当する諮問機関の答申とは必ずしも一致していないところもあります。

もちろん、メディアもこの話題を盛んに取り上げていました。同時に、政府自身も、さまざまな形で、大麻問題に対する政府の強い意思を表明するメッセージを発しています。
内務省が作成した、この分類変更の概要を知らせる一般向けのリーフレットから、政府の強い意思を読み取ってみたいと思います。

紹介するのは、英国内務省のサイトに掲載されている一般向けのリーフレットで、4ページの簡略なものです。
『大麻:法律が変わりました Cannabis :The law has changed』
http://drugs.homeoffice.gov.uk/pdfs/608459
画像


ページを開くと、見開き2ページに、今回の改正の概要がコンパクトに説明されています。大きな見出しは「大麻はクラスCからクラスB薬物に引き上げられました。これは、大麻の所持で検挙された人により厳しい罰が科されるということです。」

今回の変更の趣旨は、分類引き上げによって、大麻の単純所持事犯者に対しても、厳しい取締りを行うことにあると言ってよいでしょう。2004年に大麻をクラスCに格下げしたことによって、自己使用目的で少量に大麻を所持したようなケースでは、逮捕されることがほとんどなくなっていました。今回の変更によって、それが再び犯罪として逮捕される扱いに変わったわけです。

今回の分類変更によって、大麻の単純所持事犯に対してどんな刑事手続きが行われるかの説明です。手続きは、18歳以上の場合と、10〜17歳の場合では異なるので、それぞれの概要が説明されています。
●18歳以上の場合は、@初犯者には警告、A2犯目には秩序破壊の警告的処罰(80ポンドの即時罰金)B3犯目は逮捕、というのが基本的な手続きですが、「たとえ初犯でも逮捕されることもある」と警告されています。
●10〜17歳の場合も、同じような3段階の手続きで、3犯目で正式逮捕となりましが、ここでもやはり「たとえ初犯でも逮捕されることもある」と警告がついています。

●他人に大麻を供給した者に対する罰則についても説明されています。日本の営利犯とは少し違う概念ですが、販売や取引などに対しては最高14年の拘禁刑と無制限の罰金が科されます。学校の近くで大麻を売った場合には、さらに厳しい刑が科されるということです。

次ページは主に大麻使用のもたらす危険性についてです。政府の説明によれば、分類変更の背景には、スカンク(THCを多量に含む大麻の改良品種のひとつ、室内栽培に向くといわれる)などの強力大麻が多量に供給されるようになって、大麻の健康影響にも変化が生じているという、政府の強い懸念があります。薬物乱用諮問協議会(ACMD)の答申は、この点に関し少し違う見方をしているのですが、ここでも政府は強い意志をもって自らの見解を強く主張しているようです。

リーフレットの記載から一部を引用します。
● 大麻使用の危険性
大麻使用は身体および精神の両面に害をもたらします。大麻使用は将来の精神保健上の問題の危険を高めることにつながるという根拠があります。若年者の場合や、大量に喫煙したり、スカンクなどの強力な大麻を使うと、こうした危険性がさらに増すことがあります。

● どんな害があるのか
大麻は
・ 使用者を不安にしたり、恐慌や猜疑心、妄想などをもたらすことがあります。
・ 身体の協調運動を損ないます。
・ 心拍数を高め血圧を上昇させます。
・ 肺の疾病原因となることがあり、長期大量使用ではガンの危険性を高めることがあります。
・ 生殖機能に影響を及ぼすことがあります。
・ 無気力になり、やる気を衰えさせることがあります。

● 精神保健にはどんな危険があるのか
大麻の常用者は、統合失調症を含む深刻な精神保健の問題を発症させる危険が高いという証拠があります。スカンクのような強力な大麻を使うと、こうした危険をさらに増大させるかもしれません。将来の精神の健康にどんな影響が出るかわからないのです。
これまでにうつ病やパラノイアなどの病歴がある人は、大麻を使うべきではありません。

ここには、政府の強い意志が現れていて、薬物乱用諮問協議会(ACMD)の報告書とは、だいぶおもむきが違う内容です。実際、大麻の健康影響に関しては、まったく違う見解がいくつも発表されていて、社会を混乱させる要因のひとつになっているのです。
とりあえず、私は両者をじっくり読み比べてみたいと思います。

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専門委員の立場|英国の大麻規制2009年の変更9
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2009/11/03 00:57

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