弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 英国の大麻分類変更|英国の大麻規制2009年の変更 1

<<   作成日時 : 2009/04/18 14:19   >>

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2009年1月に英国が大麻規制に関する分類を変更したことは、すでにご存知の方が多いと思います。たまたま昨日、この分類変更について、大きな勘違いをしておられる例に出会って、ふと気づきました。この話題について、正確な情報があまりないままのようです。そういえば、このブログでも取り上げていませんでした。とり急ぎ、概要だけでもまとめておきます。

[背景]
英国(UK)では、1971年薬物乱用法the Misuse of Drugs Act 1971に基づいて薬物規制が行われています。この法律は、乱用される薬物をA、B、Cの3クラスに分類し、各クラスごとに違反行為に対する罰則を定めています。クラスAに含まれるものはエクスタシー、LSD、ヘロイン、コカイン、クラック、マジックマッシュルームなど。クラスBにはアンフェタミン(注射用の場合はA)、メタンフェタミン、コデインなど。クラスCにはGHB,ケタミンなどが含まれます。
大麻は従来はクラスB薬物だったのですが、大麻に対する法規制に関して長年にわたる議論の末、2004年にクラスCに分類変更されました。しかし、その後再び分類を見直すことが検討され、2009年1月にクラスBに引き上げられたのです。つまり、元の分類に戻されたことになります。
分類変更でもっとも直接的に影響があらわれるのは、大麻の単純所持事犯者に対する刑事手続です。クラスCの薬物であれば、事実上、逮捕されることはほとんどないのですが、クラスBの場合は違反を繰り返すと逮捕され、正式な裁判を受け、犯罪歴として記録されることにつながります。

以下は、主に英国内務省に属する薬物乱用諮問協議会The Advisory Council on the Misuse of Drugs (ACMD)が発表している内容、および関連する公式な報告書に基づいて要点をまとめたものです。
http://drugs.homeoffice.gov.uk/drugs-laws/cannabis-reclassifications/

● 分類変更に当たっての検討
首相の要請によって、薬物乱用諮問協議会(ACMD)が大麻の分類に対して検討を行いました。その報告書は、今回の変更に至るおおまかな経緯を次のようにまとめています。
・ 2002年、協議会は大麻の分類をクラスBからCへ変更するよう答申し、内務大臣はこれを受け入れて、2004年1月に新しい分類が施行された。
・ 2005年、内務大臣の諮問により協議会は分類を再検討したが、クラスCに据え置くよう答申し、内務大臣はこれを了承した。
・ 2007年6月、内務大臣は「大麻使用、とりわけスカンクと呼ばれる強力な薬物の形態での使用、による精神保健上の影響の可能性に関する一般の真の関心」に照らして、大麻の分類を再評価するよう諮問した。
協議会は大麻の健康影響に関する評価を行い、21項目にわたる勧告を行いました。勧告は、大麻使用を減少させる精神保健上の措置が必要であり、とくに若年者に対する予防措置の必要性を強く説いていますが、大麻の分類についてはCに据え置くよう答申しています。大麻には精神保健上の危険が認められるが、クラスBの他の薬物との対比において、大麻を同列に扱うことは適切でない、とするものです。
政府は勧告のうち、大麻の分類に関する1項目を除き、他の20項目を受け入れました。
・薬物乱用諮問協議会(ACMD)の報告書『大麻:分類と公衆保健』
http://drugs.homeoffice.gov.uk/publication-search/acmd/acmd-cannabis-report-2008
・政府の方針説明
http://drugs.homeoffice.gov.uk/publication-search/cannabis/acmd-cannabisreclassification

●刑事手続について
クラス Bの薬物に対する罰則は
・供給、分配、製造、取引に対する最高刑は14年の拘禁
・所持に対する最高刑は拘禁5年(クラスCでは2年)

とくに問題となるのが、大麻の単純所持事犯に対する手続です。大麻の分類変更を決定するにあたって内務大臣は、警察本部長協会The Association of Chief Police Officers(ACPO)(訳者註:英国の警察本部長、副本部長らで構成される非営利法人)に対して、成人の大麻所持事犯再犯者に対する法執行の取り組みを段階的に強化する実行可能な制度について諮問しました。
ACPOがまとめた警察手続のガイドラインによると、手続は、警告、罰金、逮捕という3段階からなっており、成人が大麻の所持で検挙された場合、警察は、次のように対応することになるであろうとしています。
・所持の初犯者に対しては大麻警告を与える。
・2犯目の者に対しては「秩序破壊の警告的処罰」―これは80ポンドの即時罰金である―が科される。
・大麻で検挙された3犯目の場合であれば逮捕され、有罪判決を受けて犯罪歴を記録されることにつながる。

少年の場合、成人とは異なる手続になります。私はUKの少年手続の全体像をよく理解していないので、とりあえず、該当部分の説明をそのまま翻訳して引用しておきます。
「大麻所持が発見された少年は、逮捕され、警察署に連行されて、違反の重大性に応じて、説諭されるか、最終警告を受けるか、刑事手続を受ける。説諭を受けた後は、いかなる違反を犯した場合であっても、最終警告または刑事手続を受けることになる。通常、警告を受けた後は、いかなる違反を犯した場合であっても、刑事手続を受けることになる。最終警告を受けた後は、少年犯罪者は、少年犯罪チームによってリハビリテーション・プログラムを組まなくてはならない。http://drugs.homeoffice.gov.uk/drugs-laws/cannabis-reclassifications/
・ACPOの警察手続ガイドライン
http://www.acpo.police.uk/asp/policies/Data/ACPO_Cannabis_Guidance_-_28_Jan_09.doc

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2009/11/03 00:57

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