弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 薬物事件と不起訴

<<   作成日時 : 2009/04/15 17:13   >>

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大麻所持で逮捕された芸能人が不起訴で釈放されたというニュースが話題を呼んでいるので、薬物事件と不起訴処分について、簡単なまとめを。

事件について捜査を遂げた後、事件を起訴するかどうかを決めるのは検察官の仕事です。検察官には裁量権があり、刑事訴訟法248条は、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる、と定めています。
検察官が起訴しないと判断した場合は、不起訴処分となって釈放されます。

不起訴処分には次のような処分がありますが、Cの起訴猶予がもっとも多くなっています。
@訴訟条件を欠くことを理由とするもの、
A心神喪失など事件が罪にならないことを理由とするもの、
B嫌疑なし、嫌疑不十分など犯罪の嫌疑が認められないことを理由とするもの
C起訴猶予。罪を犯した嫌疑があっても、被疑者の年齢や境遇、犯罪の内容、犯罪後の情況などを考慮して、検察官があえて起訴する必要はないと考えるときに行なう 
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グラフは平成20年版犯罪白書47ページより引用
クリックでグラフが拡大します

一般的に、刑事事件では起訴率はそれほど高いものではなく、平成19年では、全事件平均での起訴率は39.6%でした(平成20年版犯罪白書47頁)。ただし、事件の中には、被疑者を逮捕しないで捜査するものも含まれています。

これに比べて薬物事件、とくに覚せい剤事件では、起訴率が高くなっています。平成19年での起訴率は次のようなものです(平成20年版犯罪白書116頁)。
・覚せい剤事件……83.2%
・麻薬事件…………69.2%
・大麻事件…………59.8%

薬物事件のなかでは、大麻事件では比較的不起訴処分を受けることが多く、検挙された被疑者のおよそ3.5人に1人は不起訴になっていることになります。覚せい剤事件の場合は不起訴になる人はぐんと減りおよそ6人に1人です。
画像

グラフは平成20年版犯罪白書116ページより引用
クリックでグラフが拡大します

これだけ差がある理由を私の経験から推測するなら、まず、所持していた大麻の量です。乾燥大麻の平均的な1回使用量は0.5グラムくらいといわれます。1回の使用量よりはるかに少ない量であれば、起訴するまでもないと判断される可能性が高いといえるのです。これと比べて、覚せい剤は0.02グラムあれば1回の使用ができます。ほんのわずかにみえても、薬物としての効果が十分にある量なら、起訴の見通しが大きくなります。
次に、大麻事犯として検挙される人たちの大半が、これまで犯罪にかかわったことのない若者だという点も大きなポイントです。不起訴処分の対象となる有力な条件のひとつが、初犯者であることなのです。
近年、覚せい剤事犯検挙者中の初犯者の割合が急速に減少していることも、覚せい剤事件の起訴率が高い理由のひとつになっています。
しかし、個別の事件での起訴・不起訴の見通しは微妙なものです。所持していた薬物の量に関しても、初期に報道などで発表される量は風袋ともで計量した数値である場合が多く、それだけで判断しにくいこともあります。事件や被疑者の全体を検討しないと軽率に予測することはできません。

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