弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS なぜスポーツ選手が大麻を使ってはいけないのか

<<   作成日時 : 2009/02/01 17:53   >>

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相撲界での大麻問題がまた話題になっています。なぜスポーツ選手の大麻使用が問題になるのか、もういちど整理してみましょう。

まず、世界中のスポーツ界で受け入れられている、アンチ・ドーピング運動のなかで、スポーツ選手が麻薬や大麻などの薬物を使用することが禁じられています。もともと、アンチ・ドーピングの運動は、スポーツ選手が運動能力を高めるためにステロイド剤などの薬物を使用したり、興奮剤などを使用することで、選手自身の健康に大きな害を与えたり、競技結果にアンフェアな影響を与えることを阻止しようという運動として始まりました。
その観点からいえば、幻覚系や鎮痛作用を主とする麻薬などは禁止対象ではないと思われがちですが、世界アンチドーピング規定では、麻薬や大麻を禁止表に加えています。
具体的にいうと、禁止表に掲げられた物質(または方法)のうち、常時禁止されるものと、競技会において禁止されるものがあり、覚せい剤、麻薬、大麻は競技会での禁止物質です。

では、なぜ興奮剤以外の麻薬や大麻がドーピング禁止薬になるのでしょうか。
日本におけるアンチ・ドーピングの公式機関である(財)日本アンチ・ドーピング機構は、「ドーピングは、健康への害、不誠実、社会悪といった「悪」につながるだけでなく、スポーツの価値や意味そのものを「否定」してしまうからこそ禁止されている」と説明しています。(http://www.anti-doping.or.jp/index.html#SlideFrame_1

ドーピングを禁止する理由について、同サイトからもう少し引用します。
(1) 選手自身の健康を害する
ドーピングは薬を使用する方法が一般的ですが、競技能力を高めるために使用される量と頻度は、病気や怪我の治療のために使用されるものとは比べものにならないほど危険だと言われています。本来の想定外の量と頻度で薬を使用することは体を壊してしまう危険性があるためにドーピングは禁止されています。
(2) 不誠実(アンフェア)
スポーツ界はドーピングに対してはっきりと反対の姿勢を示していますので、大会に参加するにはドーピング禁止規程を守ることが条件です。スポーツ界の参加資格としてみんなが守っている禁止規程を自分だけ密かに守らないで有利になろうとすることは非常に不誠実です。
(3) 社会悪
特に一流の選手には青少年に対する役割モデルが期待されています。選手が薬を使って一流になっているとなれば、必ずそれを真似する青少年が出てきます。選手が薬まみれにならなければスポーツが成り立たないのであれば、スポーツ文化は間違いなく世間から葬り去られます。
(4) スポーツ固有の価値を損ねる
スポーツは、スポーツを「する」「見る」「支える」「知る」といった様々な関わりを通じて、「倫理観、フェアプレー、誠意、健康、優れた競技能力、人格と教育、喜びと楽しみ、チームワーク、献身と真摯な取組み、規則・法規への敬意、自他への敬意、勇敢さ、共同体・連帯意識」というものを我々に培わせてくれます。さらに、スポーツは、我々の日々の生活に潤いと活力を与え、人生をより豊かなものにもしてくれます。
このようにスポーツは、世界中の人々にとって非常に貴重で、普遍の文化財産なのです。
そのため、いくら世界記録を出したり、良い成績を残したとしても、ドーピングに手を染めた競技者は、人類の大事なスポーツの存在意義を否定したということで絶対に認められません。
出典/(財)日本アンチ・ドーピング機構>アンチ・ドーピングとは
 http://www.anti-doping.or.jp/keystone/index.html

スポーツの世界に限らず、プロ選手や芸能人などには、有名人であることの責任が求められます。有名人は社会一般に対する禁止に対して、率先して従う責任を負っているのです。
「今日では、これまで以上に、多くの人々がメディアを通じて、スポーツや、エンターテインメント業界またはアートの世界でよく知られた有名人のスタイルを真似ている。(略)
有名人の薬物事犯者は、一般大衆の薬物乱用に対する態度や、価値観、及び振舞いに、深く影響を及ぼすことがあり、特に、まだ薬物問題に関する十分な知識や、見解が確立していない若年層ではそれが顕著である。
有名人の薬物事犯にかかわるケースは、とりわけ、一般人の犯罪の場合と、同等あるいは多少厳しい対応がなされるならば、司法制度の公正さや、公平さについて、一般大衆に深く影響を及ぼすことができる。」
上記は、国連麻薬統制委員会International Narcotics Control Board(INCB)の2007年報告書「公平性の原則と薬物関連犯罪」の一部です。有名人の違法薬物事件では、一般より少し厳しいくらいの取扱いをすべきだという提言ですが、それだけ、青少年に及ぼす影響が大きいということでしょう。
http://www.incb.org/incb/en/annual-report-2007.html

禁止の意味を知ること、そして青少年のモデルとして、率先して禁止を守ること。スポーツや芸能関係の皆さん、業界のすべての人に、しっかりと教えてください。

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