弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS カナダの産業用大麻政策を考える―その3

<<   作成日時 : 2008/12/21 20:24   >>

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カナダは、産業用大麻の栽培を許容しています。カナダ保健省(Health Canada) のホームページにあるRegulatory Impact Analysis Statementという記事を通じて、カナダの大麻規制政策を考えてみようと思います。
Health Canada > Drug and Health Products> Regulatory Impact Analysis Statement
http://www.hc-sc.gc.ca/dhp-mps/pubs/precurs/rias1089/international-eng.php

産業用大麻として、一定の条件の下で、大麻草の栽培、輸入・輸出、販売、所持などを許容するとなると、それを管理するには、さまざまな要素が必要になります。とくに、発芽能力のある大麻の種子と、その製品の取扱いには、免許、認可、記録、検査と多くの条件が設けられます。
上記使用の4〜5ページには、この制度を構成する主要な規制策が掲げられているので、その部分を紹介します。

取締規則は以下の要素から成る:
・ 種子または発芽可能な穀物の形態で産業用大麻を輸入・輸出する者は、免許を取得しなければならない。輸入・輸出する者は、免許の保有に加えて、さらに各出荷ごとに許可を受けなければならない。
・ 輸入業者は、発芽可能な穀物の積み出しが、外国の証明を得られることを保証しなければならない。穀物に関して、どの国が同様の管理をしているかカナダ保健省がリストを発行する。穀物は、リストに記載された国だけから輸入することができる。これによって、輸入された穀物から、0.3%を超えるTHCを有する植物が生じないことを確実にする。
・ 種子採取者は、0.4ヘクタールの最小の計画面積に制限され、その免許資格の一部として、カナダ種子栽培者協会の現在の会員であることを提示しなければならない。種子採取業者は、彼らの免許資格のの一部として、過去2年間の栽培面積(ヘクタール)を提示しなければならない。
・ 植物栽培者は最小の計画面積によって制限されない。植物栽培家として免許を申請する者は、カナダ種子栽培者協会に登録しなければならず、その規定による枠組みの下でのみ産業用大麻を栽培することができる。2000年度の栽培に用いる血統証明書つきの種子制限は、植物栽培者には適用されず、「承認された栽培品種のリスト」の制限を受けない。
・ 繊維または穀物を目的に栽培する者は、配布業者から種子を購入し、または産業用大麻を栽培する前に、免許を得なければならない。裁培者は、その免許資格の一部として、過去2年間に栽培した面積(ヘクタール)を提示しなければならない。
・ カナダ保健省が「承認された栽培品種のリスト」によって承認した品種のみ、栽培することができる。2000年1月1日からは、承認された品種の血統証明書つきの種子だけを栽培することができる。裁培者は、その耕作地を特定し、生産と分配に関する記録を保守しなければならない。
・ また、種子から油脂を絞るなどの加工をする際には、免許と所定の監査記録が要求される。免許を受け、あるいは認可された関係者はすべて、その認可された活動の責任者として、カナダ国内に居住する者を特定しなければならない。
・ 産業用大麻の輸入、輸出、生産、または販売の免許を取得するには、申請者は警察の保安審査を経なければならない。
・ 油脂や油脂カスなどの種子又は穀物の派生物が、1グラム当り10マイクログラムを超えるデルタ9テトラヒドロカンナビノールを有していないことを示す証拠があり、適切なラベリング状態にある場合は、取締規則を免除される。種子又は穀物の派生物から作られた製品は、各ロットまたはバッチが、1グラム当り10マイクログラムを超えるデルタ9テトラヒドロカンナビノールを有していないことを示す証拠がある場合は、取締規則を免除される。
・ 派生物の輸入・輸出を行う者は、各出入荷ごとに、貨物が、1グラム当り10マイクログラムを超えるデルタ9テトラヒドロカンナビノールを有していない証拠を示し、製品が制限の範囲内にあることを証明しなければならない。同様に、種子または穀物の派生物の製品においても、各入出荷が1グラム当り10マイクログラムを超えるデルタ9テトラヒドロカンナビノールを有していない証拠を備えなければならない。
・ 何人も、1グラム当り10マイクログラムを超えるデルタ9テトラヒドロカンナビノールを有する派生物や、派生物から作られた製品を輸入することはできない。
・ 何人も、芽、葉、花または包葉を含んでいる産業用大麻の全草を輸入し、販売することはできず、また、上記の派生物を輸入し、販売すること、及びそれからいかなる製品も製造することはできない。
・ 製品を免許所有者の指示または管理外へ持ち出すとき、あるいは発芽能力を検査する目的で所持するために、輸送する際には承認が必要とされる。
・ 何人も、派生物又は製品が精神作用を有していることを暗示する広告をしてはならない。
・ 葉や派生物のTHCレベルの検査は、カナダ保健省によって定義された規格に従って、適格な検査機関によってなされなければならない。
(Regulatory Impact Analysis Statement Health Canada http://www.hc-sc.gc.ca/dhp-mps/pubs/precurs/rias1089/international-eng.php

産業用大麻の輸入・輸出、生産、販売はすべて免許制で行われます。免許の申請者は、既定の条件を満たし、さらに、警察の保安審査を受けなければなりません。
規制策は、大きく4つの部分からなっていると思われます。
まず第1は、産業用大麻の輸入・輸出に関する規制です。免許を有する業者が、1回の取引ごとに許可を受ける形で輸入・輸出を行います。さらに、相手国での輸入・輸出の適法性も問題となります。たとえば、日本は発芽能力のある大麻の種子の輸入を認めていませんから、カナダで産業用大麻として認可された発芽能力のある種子をカナダから輸入することはできません。取引を行う相手国のリストがカナダ保健省によって発行され、限定された取引が行われることになります。

規制策の第2は、産業用大麻の栽培に関するもの。栽培を行うのは、免許を保有する栽培者で、過去2年間の栽培実績の報告も義務付けられています。種子採取の目的で栽培する者は、一般の大麻植物栽培者と比べ、より厳格な管理を義務付けられており、生産と分配に関する記録を保管しなければならず、栽培面積も制限されています。

規制策の第3は、産業用大麻の規格管理に関するものです。大麻草の葉や花の部分が0.3%を超えるTHCを含有しないものが産業用大麻とされますが、工業製品とは違い、生育環境に左右される植物ですから、取引や加工の段階で、対象物のTHC含有量を証明することが義務付けられています。これを可能にするには、検査の技術と検査機関が充実していなくてはなりません。産業用大麻やその製品が含有するTHCの量や、種子の発芽能力の検査法が開発され、標準化され、検査の基準が作成され、基準を満たす検査機関が公認される・・・こうした過程を経て、この規制策が現実のものとなったのです。産業ベースのスピードと量の要求に対応する検査体制の確立なくしては、この政策は実現しなかったと思われます。またカナダ保健省で作成される栽培可能な品種のリスト、その種子の供給方法など、仔細なノウハウの積み重ねも、この政策を支えた裏づけのひとつであるといってよいでしょう。

さて、規制策の最後の部分は、一般的な禁止事項の明示です。「何人も・・・・してはならない。」という禁止項目がいくつか並んでいます。産業用大麻は低THCとはいえ、大麻であることに変わりはなく、それをマリファナの代用品として使うようなことがあってはならないため、こうした事項が付け加えられているものと思います。
ところで、産業用大麻を規定している産業用大麻取締規則(Industrial Hemp Regulations)には、違反に対する罰則が見当たらないようです。違反行為に対して、どのように対処しているのか、もう少し調べてみないとわかりません。

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