弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法改正論を批判する―その11

<<   作成日時 : 2008/12/15 22:16   >>

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■問題点のまとめ

最近「大麻取締法改正論」のようなものがメディアを飛び交い、ひとしきり話題になっています。ある意味で、この仕掛けはうまく的を射当てることができました。つまり、大麻乱用が広まろうとしている世相にライトを当て、注目を集め、世論を喚起しました。しかし、私は、この改正論には、どう考えても賛成しかねています。
これまで、10回にわたって検討してきたものをまとめます。

まず、論点その1、大麻の種子を大麻取締法の規制対象とする、という点。
仮に、こうした方向で大麻取締法を改正するとしたら、現在、免許を持って大麻草を栽培している人たちに、種子の管理に関して、限りなく大きな負担を強いることになり、また、食品や鳥のえさとして外国から大麻の種子を輸入し、加工し、販売している業界の隅々にまで、影響が及びます。選択肢は、大麻の種子やけしの種子を原則的に使わないか、あるいは加熱処理済みであることの証明システムを開発するか、ということになるでしょう。
こうした代償と引き換えにもたらされるメリットは、発芽可能な大麻の種子を所持している者を運よく見つけたら、面倒な立証を気にせず、簡単に起訴することができるようになる。それだけの違いです。
大麻の種子の管理が難しいのは、これが極めて小さく、発見しにくいことによるものです。法改正しても、この点は解決しません。また、不特定多数の者が外国から少量を個人輸入するという、輸入方法の特性も、摘発を困難にしていますが、法改正するまでもなく、現在でも、加熱等の発芽不能処理をせずに大麻の種子を輸入することは、関税法違反です。
たとえ法改正してみても、捜査や摘発の困難さが解決されるわけではありません。
論点その1に関しては、代償の大きさに見合うメリットを期待できないということになります。

次いで、論点その2、大麻取締法に使用罪を設ける、という点。
詳説したとおり、現在、薬物の不法使用で拘禁刑を科している国は、欧米ではほとんどありません。法制度としては、単純使用を禁止し、あるいは拘禁刑を含む刑罰を定めている国もありますが、さまざまな方法で拘禁刑を科すことが実務上回避されています。
薬物事犯者に対する刑罰は、営利犯や輸入、製造、販売などには厳しく、末端の薬物使用者や依存によって使用を繰り返す人たちに対しては、トリートメントなどの代替措置を講じることが、現在の世界の流れです。そのなかで、わが国の薬物規正法は、覚せい剤や麻薬に関して、使用罪を規定し、懲役刑を定めている点で、きわめて特殊だといわざるを得ません。
単純に、わが国の法令だけを比較して、大麻取締法に使用罪がないことをもって、法の不備を指摘するのは、あまりに偏狭な視点であると思います。もし、これを論ずるなら、使用罪とは何であるか、なぜ設けられているのか、もっと突っ込んだ議論が必要です。

以上にまとめたとおり、私は、いま流されている「大麻取締法改正論」とは、単に大麻取締法違反者を増加させるだけの、乱暴な主張であると思います。

最後に、私の個人的な主張を少しだけ付け加えます。
これまで、わが国では、青少年の薬物乱用に拡大傾向が見られるたびに、「厳正処罰」を対策の柱としてきました。末端乱用者に対して厳しく対処することで、青少年に警戒心を植えつけて、薬物乱用を食い止めようとしてきたのです。
確かに、これも方法のひとつではあります。しかし、薬物乱用に手を染める青少年のほとんどは、厳罰を加えなくても、適切な指導をするだけで問題を解決し、薬物乱用から卒業させることが可能なのです。もちろん、指導が実を結ばないケースはあります。しかし厳罰に処したところで、一定数は再犯を繰り返しています。
青少年の薬物問題の解決に、厳罰は必要ない。これが私の信念です。

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コメント(1件)

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小森榮さんの様な人が、テレビに出たりしてるからでしょうねぇ・・・。
ケミカル系の法律を抜け出たドラックが、若者中心に流行してるのは・・・。
成分が分からない様に、かなり混ざり物になってるから警察も麻薬Gメンもお手上げだしw
混ざり過ぎてるから、肝臓へのダメージもかなり大きいですし。
ケミカル系の法律を抜けた覚せい剤は、お店にも出回ってるから普通に買えますし。
マドラー
2008/12/16 01:39

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