弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 覚せい剤事件と不起訴、執行猶予

<<   作成日時 : 2008/11/04 23:23   >>

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大麻事件と覚せい剤事件は、刑事手続きにおいて、実に対照的な様相を示しています。『司法統計年報』のデータから、紹介します。以下数字は最高裁判所事務総局編『司法統計年報2刑事編・平成19年』法曹会(2008)より。

まず、起訴率。すでにお伝えしたように、大麻事件では被疑者の3人に1人が不起訴となっています。ところが、覚せい剤事件の起訴率は83.9%、つまり不起訴になるのは6人に1人です。ただし、この数字には少し説明が必要です。所持した覚せい剤がごく微量のため所持罪については不起訴になっても、使用罪で起訴されるケースなどがあり、実際に不起訴で釈放される人はさらに少なくなっています。

次に、執行猶予付き判決を受ける割合。大麻事件では、裁判を受けた被告人の85.2%が執行猶予付き判決を受けています。ところが、覚せい剤事件では、執行猶予付き判決を受けたのは42.4%、過半数(57.6%)が実刑を言い渡されているのです。

この差をもたらしている要因を考えてみましょう。この部分は、警察庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課編『平成19年中の薬物・銃器情勢』(2008)からのデータです。
最初に思い浮かぶのが、初犯者の比率です。覚せい剤事犯検挙者のうち、初犯者は44.1%と半数を割っています。これに対して大麻事犯では、検挙者の86.7%を初犯者が占めています。
次に、検挙者の年齢層。覚せい剤事犯のもっとも多い年齢層は30歳代で、全体の37.8%を占めています。いっぽう大麻事犯でもっとも多いのは20歳代で、63.3%を占めました。覚せい剤事犯として検挙される人のなかに、長年にわたって乱用を続け、前科をもっている人が多いのに比べ、大麻事犯では、乱用歴の浅い若者が多いことになります。

検挙者の層は、常に変動しています。10年ほど前、覚せい剤事犯が急増していた時期には、覚せい剤での検挙者の過半数を少年と20歳代が占めていました。検挙者が減少し始めた2001年ころから、じわじわと年齢層が上昇し、初犯者が減少しているのです。
いっぽう、大麻での検挙者にも少しずつ変化が現れています。前年と比較して、初犯者比率がいくぶん低下し、高年齢の検挙人員も増加しています。いつか、このトレンドが目立ち始めたときには、長年にわたる乱用歴をもつ人が大麻事犯の過半数を占める事態になってしまうことも、あるかもしれません。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。いつも興味深くブログを読ませて頂いています。昨日の記事の中に覚醒剤での起訴の話がありましたが、使用罪だけでの起訴は珍しいのでしょうか?記事を読み、ふと疑問に思いましたので書き込みさして貰いました。よろしくお願いします。
たかあき
2008/11/05 21:47
たかあきさん、回答します。
覚せい剤の使用罪のみでの起訴は、たくさんあります。もちろん、所持罪だけのケースもあり、所持と使用の両方で起訴されるものもあります。

小森 榮
2008/11/05 23:44

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