弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻事件と執行猶予

<<   作成日時 : 2008/11/03 17:05   >>

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2007年中に大麻取締法違反で裁判を受けた被告人1,293人(通常第一審終局人員)のうち、1,287人が懲役刑を言い渡されました。ただし、全体の85.2%に当たる1,097人が執行猶予付き判決を受けており、実刑判決を受けたのはわずか190人(14.8%)でした(最高裁判所事務総局編『司法統計年報2刑事編・平成19年』45頁、法曹会、2008年)。

執行猶予とは、比較的軽い刑(3年以下)の場合に限ってつけることができるもので、一定の期間を区切って、言い渡した刑の執行(懲役刑であれば刑務所に収容すること)を猶予するというもので、執行猶予期間中に罪などを犯さずに過ごせば、その刑の言い渡しは効力を失います。簡単にいうと、執行猶予期間中に犯罪にかかわることなどがなければ、刑の宣告を受けなかったことになるのです。執行猶予は、これまで犯罪に関わったことがない、再犯のおそれが少ないなどの場合につけられます。犯罪の内容が悪質だったり、犯罪歴がある場合は、執行猶予付き判決を期待することは難しくなります。
執行猶予付き判決を受けると、普通の社会生活に戻ることができるので、無罪になったと思い違いをする人もあるようですが、決して無罪になったわけではなく、懲役刑の執行が期限付きで保留されているわけです。もし、期限内に再び犯罪に関わって逮捕されるようなことがあれば、執行猶予は取り消され、前に言い渡された懲役刑を受けなくてはならないことになります。

こうした現状を「甘すぎる」と考える方もあるようですが、普通の生活を送っている若者にとって、刑事裁判で有罪の判決を受けるということは、社会的には大変厳しい制裁を科されることになります。
まず、公務員や会社員などの社会的な身分を失うおそれがあります。また、公的な資格には、有罪判決を受けた人に対して、一定期間資格を制限しているものもあります。一般の若者にとって、最も影響があるのは、パスポートや外国への入国ビザの問題でしょう。執行猶予の期間中は、パスポートの取得が制限されることがあり、アメリカなど、薬物事件での逮捕歴のある人には入国許可が出にくい例もあります。
裁判を終え、執行猶予付判決を受けてもとの生活に戻ったときは、これで全て片付いたように思うでしょうが、就職、資格取得、海外出張・・・とその後の人生でちょっとした変化を迎えるたびに、有罪判決を受けたことによる制約に出会うことになります。
少量の大麻を所持したケースで、一般的に科される執行猶予期間は3年間です。大学生であれば、その後の人生を左右する大切な3年間に、大きなハンディを背負ってしまうことになるのです。

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