弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 野生大麻とTHC

<<   作成日時 : 2008/11/17 23:50   >>

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ちょっと前のニュースから
●やまぬ野生大麻採り ネットで知り道外から
「大麻汚染が社会問題化する中、道内で自生する野生大麻草の不正採取や所持による大麻取締法違反事件が後を絶たない。北海道は全国で除去された野生大麻草の8割を占める全国有数の「産地」。ネットで知り、大量の大麻草目当てに道外からやって来た容疑者も多い。高校生も逮捕されており、大麻草が身近に手に入ってしまうのが現状だ。保健所などが除去するが、繁殖力が強く、毎年新たな自生地が見つかる「いたちごっこ」が続いている。
11月1日、約81キロの大麻草が網走支庁置戸町内で見つかった。今年最多の押収量。山中に張られていたテントで乾燥中だった。持ち主は東京都出身で住所不定の男2人。大麻取締法違反容疑で逮捕された。採取地は同支庁訓子府町だった。
捜査関係者によると、同町産は一部で、高品質な「ブランド品」として知られているという。男たちは「農家でアルバイトをしながら、大麻草を採っていた」と供述した。
同16日に逮捕された別の男2人は、北見市内の短期賃貸マンションに住み込み、大麻草約5キロを乾燥させていた疑いが持たれている。2人は仕事で知り合い、大麻の情報交換をするようになった。「ネットで自生地を調べ、昨年も大麻草を採りに来た」と話したという。
道警によると、同容疑で今年に逮捕されたのは9月末現在で73人。昨年同期と比べて21人多い。少年は18人で、昨年同期より同10人多いという。」(2008年11月06日 朝日新聞北海道版より)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000811060006

北海道には自生している大麻があり、これを採取して乱用したとして検挙される例が後を絶ちません。身近に自生大麻がある土地柄では、とくに青少年への乱用防止活動がもとめられることになります。
ところで、北海道の自生大麻、夢も織り込まれて、「ブランド」視されているそうですが、さてその効力はいかがなものでしょう。大麻の精神作用は、含まれているTHCによるといわれますが、一般的に、緯度の高い土地では、屋外で育つ大麻草のTHC濃度は低くなるといわれています。
たとえば北海道と似た高緯度地帯のオランダでは、屋外で栽培される大麻草はTHC濃度が低く、乱用目的の薬物に適さないといわれます。オランダの薬物政策のガイドブックに次のような記載があります。「オランダの気候は一般的に、薬物として大麻を屋外で栽培するには適していません。」薬物Q&A2002 
http://www2u.biglobe.ne.jp/~skomori/sov/dutch%20policy%20f1.htm

北海道の自生大麻が含有するTHCは、おそらく低く、乱用薬物としての効果は極めて弱いのではないかと、私は以前から思っていましたが、このニュースに接した機会に、どのくらいのTHCが含まれているか、具体的に調べてみようと思いつきました。
どこかにしっかりした報告がないかと探してみたら、ありました。北海道立衛生研究所のホームページの中に、「北海道と大麻草」という記事がみつかりました。北海道に自生する大麻草のTHC量は0.1から1.6%であったと報告されています。

●北海道と大麻草
「北海道では毎年6月から9月の間に保健所等が集中的に野生化した大麻草の抜き取り作業を行っており、平成15年度には約147万本の抜き取りが行われました。この数は全国の抜き取り総数の約8割を占める量である事から、本道ではいかに野生の大麻草が問題となっているかがわかります。我が国で野生化している大麻草は南方系産に比べ、THC含量が少ないと言われています。しかし、過去に当所で実施した調査の結果、道内に野生する大麻中のTHC含量は0.1-1.6%であり、世界各地の大麻と比べてTHC含量に遜色はなく、道内の野生大麻も不正使用の対象となり得る事が明らかとなっています。北海道立衛生研究所食品薬品部食品保健科研究職員 藤本啓」
http://www.iph.pref.hokkaido.jp/charivari/2005_09/2005_09.htm

では、この0.1から1.6%という量は、一般的な乾燥大麻と比べるとどうなのでしょう。出回っている大麻のTHC量に関しては、アメリカの報告があります。ミシガン大学の研究によれば、押収された乾燥大麻の平均的なTHC含有量は、1983年には4パーセント以下であったものが、2007年には8.5%と2倍以上になっているということです。
ONDCP(the Office of National Drug Control Policy)プレスリリース2007年4月25日
http://www.whitehousedrugpolicy.org/news/press07/042507_2.html

近年では、室内栽培される高THC大麻が増え、とくにTHC濃度の高いシンセミア(雌株の未受粉の花穂部分)では20%近いTHCを含有すると称するものも見受けられます。国連薬物犯罪事務所が発表した『世界薬物報告書2006』は、「種なしのシンセミアは、種のある製品よりはるかに効力が高く、合衆国では2004年のTHC平均が約10.5パーセント、オランダでは18パーセントに近い(輸入大麻がおよそ6パーセントであるのと比較して)と高い。サンプルによっては30パーセントのTHCレベルを示したが、これは極めてまれな事例である。」としています。

現在、乱用目的で流通している一般的な乾燥大麻と比べると、北海道の自生大麻が含有するTHCははるかに少ないということができそうです。THC含有量が2―3パーセントのものは低品質大麻と呼ばれるそうですが、それよりもはるかに少ないのです。
ただし、少ないとはいえTHCが含有されていますから、自生大麻はまちがいなく大麻で、これを所持すれば大麻取締法違反です。リスクを犯して採取ツアーに出かけるのは、あまりにも割の合わない話だと思うのですが・・・。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
北海道の野生大麻の成分含有率が0.1〜1.6%とありますが、それでは確かにハイにはなりません。無毒大麻といわれるトチギシロとたいして変わらないです。ではなぜ野生大麻を採りに行く人がいるのでしょうか。それはハイになるからです。つまり、ここで言われている野生大麻の成分勧誘率は疑わしい数字ということになります。
室内栽培で行なわれる場合、太陽に代わる光源は照明器具になりますが、照明器具と太陽を比べた場合、明らかに太陽の方が効率的です。実際、室内で栽培されたものより、屋外で栽培されたもののほうが効果は高いという意見は多いです。
オランダの場合でも、法規制があるため野外栽培は難しいです。そのため室内栽培用に品種改良された種子が売られていますが、本当は野外で栽培したほうが効率の高い大麻ができます。
記事の内容は、大麻栽培についての認識が低いように思います。
日鷲
2008/11/26 12:32
いろいろ読ませていただきましたが、乱用という言葉がたびたび書かれていますが、嗜好品としての使用に重点を置くべきではないでしょうか。
アルコールにしても乱用すれば、身心への影響や、他者への被害(アルコールの抑制作用による痴漢や強制わいせつ、暴力行為)が起こりえます。
ほとんどの大麻愛好者は、他人に迷惑をかけず節度ある使用をしています。
自動車でも無茶な運転をしては危ないでしょ?
だからといって自動車の危険性を列挙しても意味がない。
結局のところ、何をするにしてもその人の人格が決定するのです。
mos.
2008/12/02 10:11

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