弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻事件と不起訴処分

<<   作成日時 : 2008/10/31 20:33   >>

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大麻で逮捕された人のうち、3人に1人は、起訴されることなく釈放されています。薬物の所持や使用事犯は、比較的証拠が得やすく、ひとたび逮捕されたら起訴される率が高いタイプの事件ですが、実は、近年、起訴率の低下傾向がみられるようになりました。
なかでも、大麻取締法違反事件では、目だって起訴率が低いのです。『平成19年版犯罪白書』によれば、平成18年では、大麻事犯の起訴率は63.4%、言い換えれば不起訴率が36.6%でした。つまり、大麻取締法違反で逮捕された人の3人に1人は起訴されることなく釈放されていることになります。
画像

法務総合研究所編『平成19年版犯罪白書』121頁より
クリックでグラフが拡大します。

裁判にならずに釈放されたというと、「無罪になった」「無実だった」と考える方が多いようですが、実はこの不起訴には、もっといろいろな理由や判断が含まれています。
犯罪捜査の結果、被疑者を起訴するのは検察官ですが、検察官は起訴に当たって裁量権をもっています(刑事訴訟法第248条)。捜査の結果、犯人ではないことが明らかになった場合は、当然、起訴されずに釈放されますが、犯罪が行われたという十分な証拠がある場合でも、さまざまな事情を考慮して、起訴しないことができるのです。

刑事訴訟法第248条
犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

不起訴処分には、次のようなものがありますが、実際に薬物の所持や使用の事件で不起訴処分をうけるケースのうち、もっとも多いのはBの起訴猶予です。
@訴訟条件を欠くことを理由とするもの、心神喪失など事件が罪にならないことを理由とするもの。
A嫌疑なし、嫌疑不十分など犯罪の嫌疑が認められないことを理由とするもの。
B罪を犯した嫌疑があっても、被疑者の年齢や境遇、犯罪の内容、犯罪後の情況などを考慮して、検察官があえて起訴する必要はないと考えるときに行なう、起訴猶予処分。

起訴猶予処分の対象となるケースとは、わかりやすくいえば、被害者がいないか被害の程度がごく軽く、被疑者に再犯のおそれが少なく、厳重な刑事処罰を科すよりは本人の自覚や周囲の監督に委ねるほうが適切と思われる場合、ということができるでしょう。大麻取締法違反の事件では、初犯者がごく少量の大麻を所持していたようなケースで、起訴猶予処分となる例が、よくみれらます。

もっとも厳格だといわれる刑事司法制度ですが、こうした裁量が随所に生かされているのです。学校や職場、地域社会での対応には、さらに幅広い検討が加えられ、多様な対処があってよいと思います。増加する大麻事件に対して、ひたすら厳正処罰を求めるよりも、もっと総合的な解決の方法を考えたいものです。

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