弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 印度大麻越幾斯―明治の日本薬局方・続き

<<   作成日時 : 2008/10/28 00:54   >>

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明治の日本薬局方に、印度大麻越幾斯(エッキス)をみつけて、さらに追跡を続けます。大麻が載っているのですから、当然、阿片やコカインもみつかります。これらはすべて「劇薬」の項目に分類されており、「注意して貯ふへし」と注意書きが添えられています。
●阿片 
●阿片丁幾(チンキ)
●阿片越幾斯(エッキス)
●塩酸古加乙涅(コカイン)

漢字で表記するといかにも明治の薬という印象ですが、しかし、これらの薬品のほとんどは、現在の日本薬局方にも掲載されています。現在使われているのは「第十五改正日本薬局方」ですが、次のようなものが掲載されています。
●アヘン末 Powdered Opium
本品はケシ Papaver somniferum Linne (Papaveraceae)から得たあへんを均質な粉末としたもの,又はこれにデンプン若しくは「乳糖」を加えたものである.本品は定量するとき,モルヒネ(C17H19NO3:285.34)9.5〜10.5%を含む.
●アヘンチンキ Opium Tincture
本品は定量するとき,モルヒネ(C17H19NO3:285.34)0.93〜1.07w/v%を含む.
第十五改正日本薬局方 化学薬品等
●コカイン塩酸塩 Cocaine Hydrochloride(塩酸コカイン)
本品を乾燥したものは定量するとき,塩酸コカイン(C17H21NO4・HCl)98.0%以上を含む.

エキス剤という調剤方法があまり使われなくなったことから、アヘンエキスだけは見当たりませんが、その他は明治以来一貫して日本薬局方に掲載されているのです。ちなみに、覚せい剤であるメタンフェタミン塩酸塩も掲載されています。ところが、なぜか、大麻草と大麻エキスは、現行の日本薬局方には見当たりません。どこかの時点で掲載されなくなったのです。
気になったので、資料が見つかる範囲で追跡してみました。
確認できた最後のものは、岐阜県警察部衛生課編『第四改正日本薬局方の要領』日本薬剤師会岐阜県支部発行(大正10年)です(国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」収蔵)。

なお、わが国で最初の日本薬局方は、明治19年6月25日の官報第894号別冊内務省令第10号の官報に掲載されましたが、その官報版の全頁がインターネットで公開されています。そこには、次のように掲載されていました。
印度大麻 Cammabis Indicae.(13頁)
印度大麻越幾斯篤拉屈篤(エキストラクト) Extractum Cannabis indicae.(22頁)
「もうひとつの学芸員室」エーザイ『くすりの博物館』ホームページより
http://www.eisai.co.jp/museum/curator/column/051104c.html(トップページ)
http://www.eisai.co.jp/museum/information/facility/archive/04411/archive27.html(該当ページ)

昭和23年、大麻取締法が制定されたときには、日本薬局方に大麻から製造された医薬品は掲載されていませんでした。となると、大正末から戦中のどこかで、削除されたことになります。実際に用いられることがすくなかったことから、削除されたのでしょうか。

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