弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 営利目的ってどんなこと?

<<   作成日時 : 2008/09/05 23:01   >>

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●大麻取締法違反:栽培、密売容疑で2グループ14人逮捕 847グラム押収 /香川
県警組織犯罪対策課と高松北署は4日、今年2月5日から7月末までに、高松市や中讃、西讃方面で大麻草を栽培・密売していた男など2グループ計14人を大麻取締法違反容疑などで逮捕、計約847グラムの乾燥大麻と栽培器具などを押収したと発表した。4日までに14人全ての刑が確定している。
同課などによると、逮捕されたのは県内の25歳から32歳までの男女。小中学校の同級生や、丸亀市内のディスコなどで知り合ったという。うち、琴平町のパート従業員男性と会社員の男性は、同町内のアパートで4〜5年にわたり大麻草を栽培、営利目的で所持していた。
同課によると、県内では8月末までに、乾燥大麻約970グラムが押収され、27人が同法違反で検挙。検挙数も押収量も過去5年で最大という。(香川/9月5日朝刊)
9月5日17時2分配信 毎日新聞ニュースより
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080905-00000253-mailo-l37

上記の事件について、私はただニュースで知っただけで、詳しい事情は何もわかりません。でも、似たような事件をたくさん見てきましたので、私の見てきた、営利目的の大麻事件について、お話ししましょう。

「密売犯」というと、お金儲けのために誰にでも、どんな薬物でも見境いなく売りつける、不良外人や暴力団ふうの人を想像することが多いでしょうが、営利犯として起訴される被告人の中には、ときには、乱用の延長線上で、つい他人に売ってしまう若者も混じっています。とくに大麻の事件では、そんな被告人に会うことがあります。
海外への行き来が多い人や外国に友人がいる人などが、たまたま安く大麻を買うルートを見つけて、大量に密輸してしまった例。インターネットで外国の情報を読んで、大麻の栽培道具を買い揃えているうちに、栽培する量が増えてしまった例。手に入りにくい大麻を安く、大量に手に入れてしまえば、友人に自慢し、分けてあげたくなることでしょう。やがて、リスクを背負って手に入れたのだから、少し利益を乗せて売っても当然だと、考えてしまうこともありがちです。

薬物を自分で使うだけでも、その所持は罪になります。他人に分けてあげる行為は、薬物の害を広めることになり、さらに罪は重いとされます。さらに、利益を得るために他人に売れば、とくに重い罪に問われることになります。

大麻取締法をはじめ、薬物を規制する法律では、違反に対する罰則のなかに、営利目的加重処罰規定とよばれるものがありますが、これは、営利の目的である罪を犯した者に対しては、その目的のなかった者より重い刑が科されるというものです。たとえば、大麻の栽培や輸入罪では、単純犯に対する罰則は、7 年以下の懲役ですが、営利犯の場合は10 年以下の懲役、または「情状によって」10年以下の懲役及び300 万円以下の罰金(併科)と格段に重くなっています。

裁判において「営利の目的」とは、「犯人がみずから財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいう」とされています(覚せい剤取締法違反事件につき、最高裁決定 昭和57 年6 月28 日 )。「営利の目的」というと、薬物の密売で生計をたてているような職業的な密売人や、犯罪組織による大がかりな犯行を思い浮かべることが多いでしょうが、裁判例としては、ひろく財産上の利益を得る目的があれば足り(麻薬取締法違反事件につき、東京高裁判決 昭和34 年11 月18 日)、職業としている必要はなく(覚せい剤取締法違反事件につき、東京高裁判決 昭和31 年11 月27 日)、1 回かぎりでも差し支えなく、また現実に利益を得たかどうかを問わない(麻薬取締法違反事件につき、東京高裁判決 昭和41 年9 月14 日)とする、たいへん厳しい判断が示されています。

薬物を使うことが「良いことだ」とまでは思わないにしろ、「それほど悪いことじゃない」、「誰にも迷惑をかけていない」などと感じている人が少なくないようです。薬物乱用を続けるうちに、しだいに付き合う友人も乱用者が中心になり、薬物乱用についての考え方が極めてあいまいになり、実に安直に密輸や栽培に手を染めてしまい、あげくは「営利目的の所持」として、格段に重い刑罰を受けることになるのです。

自分が薬物を使うことと,これを密輸したり,他人に売ったりすることの間には,本来大きな隔たりがあるはずです。興味本位で薬物を手に入れてしまう若者に、他人に売るということの責任の重大さを、何とかわかってほしいと願っています。

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