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●関取に抜き打ち尿検査=大麻事件で相撲協会 日本相撲協会は2日、元幕内若ノ鵬が大麻取締法違反容疑で逮捕、解雇された事件を受け、十両以上の関取に対して抜き打ちの尿検査を行った。検査は同日、幕内と十両の力士が参加する力士会の後で実施。簡易検査だったが、若ノ鵬と同じロシア出身で交友関係のあった露鵬、白露山は引き続き詳しい検査を行ったという。 (時事通信ニュース・2008/09/02-18:30より) http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2008090200808 近年、多様な簡易検査キットが供給されるようになったため、薬物使用の簡便な検査法として、簡易キットによる尿検査を行うことが可能になっています。刑事司法関連の分野では、こうした簡易キットでの検査を行うケースが増えてきています。まず薬物犯罪のスクリーニング。警察では、薬物使用が疑われる被疑者に対して尿の任意提出を求めますが、提出された尿の一部を使ってその場で簡易尿検査を行う場合があります。また、保護観察所では、覚せい剤で受刑した人たちを対象に、仮釈放中に任意で定期的に簡易尿検査を受けるプログラムが実施されています。 大相撲では、ずいぶん性急に尿検査が実施されたようですが、導入に当って、十分な準備ができたのか、少しばかり気になっています。 簡易キットを使った薬物使用の尿検査で、必ず踏まえておかなければならないチェックポイントを挙げてみましょう。 ●キットによる簡易検査の限界 市販のキットを使っての簡易検査は、あくまでも予備的な検査方法です。類似の化学構造をもつ風邪薬や向精神薬の一部に対して擬似陽性反応を示すこともあり、わずかながら誤差もあります。簡易キットでの検査で陽性反応が出た場合は、キットを変えて(別な種類のキットで)再検査するよう手順を決めている場合もあります。陽性を示した場合は、正式な検査をしたうえで、結果を判断するのは、基本中の基本です。簡易キットでの結果では判断できません。 ●薬物によっては体内にとどまる時間が長い 尿検査は、最近の薬物使用を検査するものです。ところが、薬物によっては摂取した後比較的長期間体内にとどまり、ゆっくり排泄されるものがあります。大麻は、体内の脂肪組織に吸収され、長期間尿に排泄されることがあります。 ●対象者の同意確認は慎重に 尿検査は個人のプライバシーを極度に侵害しかねない行為です。警察が犯罪捜査のなかで行う場合や、保護監察官が保護観察対象者への指導のなかで行う場合でも、あくまでも本人の同意を得て、適正な方法で尿を採取し検査を行うよう、説明や同意確認の手順なども細かく定め、実施者の訓練をしたうえでやっているのです。本人の同意なしに行うことができるのは、令状に基づいて行う強制処分だけです。 ●キットの扱いには訓練が必要 現在市販されている各種キットの大半は、一見するとよく似たもので、窓部分に現れるバンドで尿中の覚せい剤を判定するのですが、判定の方法がキットごとに違い、慣れない者にとってはミスが起きやすいという問題があるように思います。 実際、こうした手順に慣れているはずの警察で、簡易キットの判定を見誤って、誤認逮捕してしまったという例がありました。 《覚せい剤鑑定でミスし誤認逮捕》2007年10月30日 福岡県警 福岡県警朝倉署は、覚せい剤使用を調べる簡易鑑定の結果を「陽性」と見誤り、無職男性を覚せい剤取締法違反容疑(使用)で誤認逮捕し、釈放したと発表した。 同容疑で男性宅を家宅捜索した際、注射器などを発見。男性の左腕にも注射痕が見つかったため任意同行を求め、同署で簡易鑑定を実施。この鑑定では尿を付着させた試験紙の上に浮き上がる線の本数によって陽陰性を判断するが、捜査員が線を1本数え間違えて、「陽性」と見誤った。男性も「3、4日前に覚せい剤を使用した」と認めたため、同署は男性を緊急逮捕。しかし科学捜査研究所による正式鑑定の結果「陰性」と判明した。 (2007/10/30付 西日本新聞朝刊より) そういえば、自衛隊で薬物問題が相次いだ2005年、抜き打ち尿検査の導入が検討されたことがありました。 ●自衛官に尿検査導入へ薬物事件で防衛庁検討 防衛庁は海上自衛隊横須賀基地の自衛官らによる薬物事件を受け、陸海空3自衛隊に、入隊後の尿検査を導入する方向で検討を始めた。庁内に設置した「薬物問題対策検討会議」(議長・今津寛副長官)が公表した再発防止のための中間報告に盛り込んだ。導入されれば、対象者は20数万人となる。防衛庁は今後、同意を得た上での任意検査か強制的に実施するかを詰める。 (共同通信2005年10月27日配信ニュースより抜粋) http://www.47news.jp/CN/200510/CN2005102701001541.html その後、2006年2月に公表された最終報告書では、尿検査は次のようになっています。 薬物検査(尿検査)制度について 1 目的 ○ 薬物乱用を未然に防止すること等により、厳正な規律を保持する。 2 薬物検査の実施体制 ○ 各幕僚長の下、検査実施に必要な要員を指定して実施する。 3 検査対象者の選定 ○ 次のいずれかの方法により幕僚長が検査対象者を選定する。 (1) 無作為に抽出した隊員を個々に選定する方法 (2) 無作為又は有意に抽出した部隊等に属する隊員全員を選定する方法 (3) 上記を組み合わせた方法 (4)その他幕僚長が特に必要と認める方法 4 検査の実施 ○ 検査の実効性を確保するため、検査対象者への告知は、原則として薬物検査の実施日に行う。 ○ 検査の実施に先立ち、書面により検査対象者の同意を得る。 ○ 尿検査キットにより検査を実施し、必要に応じて再検査等を行う。 ○ 薬物乱用の疑いが認められた場合には捜査機関への通報等を行う。 防衛庁「薬物問題対策検討会議における検討結果について―最終的なとりまとめ―」平成18年2月15日 http://www.mod.go.jp/j/library/archives/yakubutu/yakubutu.pdf 簡易キットを使っての尿検査、手軽そうに見えても、そこにはいろいろな問題が含まれています。どうか慎重に、と私は今日のニュースをみて、何度も思いました。 |
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