弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法の生い立ちを考える・その11−小規模大麻栽培の実態

<<   作成日時 : 2008/09/23 22:02   >>

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一度は全面的に禁止された大麻の栽培が、大麻取締規則の下で、許可制として、当初は12の県で栽培面積約3,800ヘクタール、栽培者約35,000人という状態から再開されたのが、昭和22年春のことです。翌23年7月には、大麻取締法が制定されましたが、栽培規制の大枠はそのまま引き継がれることになります。
大麻の栽培地域は、当初の12県から翌年には18県に増え、昭和25年には23県にまで増えますが、栽培面積は昭和25年でも4,500ヘクタール弱にとどまっています。つまり、当時の大麻栽培は、農家の副業として小規模に栽培するものが中心だったことがうかかわれるのです。

前にも触れたように、昭和23年に大麻取締法が制定された当時の国会本会議及び委員会では、ほとんど議論がされないまま議案が承認されていますが、昭和25年の大麻取締法の一部改定(麻薬取締官の身分、権限などの改定)時には、大麻の栽培規制が農家に与える影響について、議論が交わされています。そこでは、農家が自家消費用に、畑の片隅にわずかな大麻草を栽培するという実態が語られ、こうした零細な栽培を事実上排除する形で進行しつつある大麻規制について、配慮を求める声を見出すことができます。
昭和25年(1950年)3月13日、14日に開かれた衆議院厚生委員会の議事録から、大麻取締法の改正に関係する部分を抜き出してみます。なお、下の抜書きは、議事録に記載された発言から、私が任意に一部分を抜き出してまとめたものです。

なお、その後の大麻生産は、海外から輸入される安価なマニラ麻などの影響を受け、昭和30年代に向かって次第に縮小に向かうことになります。日本の大麻生産の縮小については、別な機会に紹介したいと思います。

[昭和25年3月13日、昭和25年3月14日、衆議院厚生委員会議事録より]
○里見説明員 御質問の作付反別は、農林省と協議の上できめるようになつております。なお作付反別は実は司令部の方からのメモランダムによりまして、日本全国で五千町歩ということに押えられております。五千町歩の範囲内において、二十三県にこれを割当ててつくらしております。その作付反別につきましては、農林省と協議の上で、大体きめておるのであります。
○丸山委員 現在の日本の麻の需要はこの五千町歩でまかなえるかどうか。増してもらうような必要があるのではないか。どういうふうになつておりますか。
○里見説明員 当初定めました五千町歩でありますが、われわれの方で大体実績を調べたわけであります。そうしてそれによつて大体五千町歩ということが認められまして、五千町歩の範囲内で栽培を許されております。実際には五千町歩を下まわつておりまして、一昨年は三千八百町歩、昨年は四千町歩から四千五百町歩の間くらいで、いまだ五千町歩に達していないような状況であります。
○丸山委員 実は農家などでは、自分の需要に供するために麻をつくりたいという希望を持つておるのが非常に多いのでございます。そういうものは、もちろん零細な栽培なのでありますが、そういうものは今まで許可になつておらない現状なのであります。栽培の許可というようなことに対して、割当等に非常に手間取るというようなことで、栽培が北常に困難になるというようなことを生ずる危険はないのですか。
○里見説明員 ただいまご質問がありましたような点に対しては、別に御心配になるようなことはないと思うのでございます。
○大石(武)委員 われわれの郷里におきましても、調べたところによりますと、大麻の栽培は非常に採算がとれるいい仕事のようであります。農家の副業としてもよい仕事のようでありますが、そうして日本の現状においても、麻がいかに不足しておるかということは、ここに数字をあげなくてもおわかりのことと思います。(略)従つて五千町歩という許可の面積に満足しないで、日本においてはいかに麻の栽培が必要であり、かつ麻薬取締り上害がないということを大いに強調せられ、また農民に対しても、これが楽に栽培できるように、十分取締りあるいは監督に留意せられて、これを推奨されるように、極力希望するのであります。
○里見説明員 (略)今まで私ども扱つておりましたのは、各府県からの希望数をまとめて、五千町歩に達しないので、そのまま許可をしておつたという実情でありましたが、実際にたくさん希望者があるとすれば、五千町歩以上になつもて栽培できるように、関係方面と折衝することは、できるだけ十分にいたすつもりであります。
○大石(武)委員 これはおそらく希望がないのではなくて、希望のできないような條件のもとにあるから、希望がないのだろうと思うのであります。それは、希望させないような監督なり取締りに原因があると思う。そういうことを十分に考えられて、希望しないからこれでよいのだというように、現状に満足されないで、これを希望しない原因は、ほんとうにこれをつくりたくないのか、それともつくり得ない現状にあるのかということを察してやつて、その障害を取除かれるのが政治であるから、その意味で進まれんことを希望いたします。
○里見説明員 大麻の栽培の状況から見ますと、現在つくつておるのは、集団的にまとまつて栽培しておるのでありまして、何坪ずつというような少しずつの栽培は、実際にないような状態であります。そういうものを全部希望をいれますと、もちろん相当の数字になるかと思いますが、それではなかなか取締りがつきません。御承知のように、栽培している所は、都会から離れた山のような所にたくさんありまして、これがばらばらに栽培されおりますと、取締りが相当困難を来すということもありまして、大体集団的にまとまつておる所に許可をしております。しかしただいまお言葉のありました通り、取締りが嚴重に過ぎて栽培ができないとか、あるいはまた報告を出すとかいう点でやつかいであるから栽培しないというような方もあるかと思います。しかしながらできるだけ、希望される方には、栽培できるように、私どもも努力するつもりでおります。
○丸山委員 (略)私どもの方はやはり栽哉地ですが、零細な栽培をしておりまして、それは自分のうちの子供のげたの緒をつくるとか、自分で消費したいために、小量の栽培をしておる者が非常に多いのであります。それが非常に手続が多いために、許可を得ておらぬのが現状であります。そういう作付反別があるならば、零細な栽培者も、ただ取締りがめんどうだからというのでなく、もう少し広く、ゆつくりとつくらすような方向に進んでもらいたいということを、特にお願いしておきます。
○大石(武)委員 私は東北ですが、丸山委員その他が言われたように、私の地方では、大麻をつくつて、げたの緒どころじやない。衣料を買えない農家が衣料にしておるのが非常に多い。これは地方にとつてはぜひ必要なものであつて、この作付を制限したり、監督を嚴重にしたりすることによつて、地方におけるそういう実情を無税し、あるいは農家の自己消費を非常に困難ならしめるというようなことがあつてはならない。
○苅田委員 (略)大麻取締法につきまして、今日本の大麻の生産状況どいうものがどうなつているかということをお知らせ願いたいと思います。
○徳安説明員 (略)実績を申し上げますと、二十三年が三千六百町歩、二十四年が三千九百五十一町歩、それから二十五年は大体五千町歩できる予定で、一応作付の許可を厚生省、農林省で與えております。(略)許可面積は、一応一反歩なり二反歩を、取締りの関係もありますので、集団的なところで許可をいたしておりますが、実態は各農家が一畝とか二畝とか、それをまとめて代表者が許可を受けておる。従つて農家の自家消費に充てられるものが相当ある、こういうように考えております。
○苅田委員 大麻というものは、相当零細な農家が自家用につくつていたところがたくさんあるわけですが、これが今度の統制によりまして、規約の変更によわ非常にめんどうな手続をしなければこれがもらえないというようなことになれば、そういつた零細な反別を持つてやつておる人たちが、今度どうしても落ちて来るというようなことが当然考えられるわけですけれども、こういうものに対して農林省の立場として、そうした百姓の人たちの農家経済を維持する面から、この大麻の生産に対しましては、こういうような対策をお考えになつておるか。その点についてお伺いいたしたいと思います。
○徳安説明員 農林省といたしましては、大麻の取締りにつきましては、この際強化されるということは承つておりませんし、従来通りというふうに了承いたしております。
○金子委員 問題は今後の許可の問題になつて来るのですが、許可の方法が、先ほど麻薬課長は一畝なり三畝なりというお話でありましたが、一体自家用にするのに二畝も二畝もつくる者はないので、ごくわずかなものですから、部落ないしは町村のような代表者において責任を負える人があるならば、たとい一戸の家で三坪でも四坪のものでも、集計した形で許可をするかどうか。この問題が麻薬取締りと農村の関係に一番大きく響いて来ると思いますから、その点の見解をはつきりしていただきたいと思います。
○徳安説明員 二十五年度の作付も五千町歩で一応おろしておりますが、これがどうなるかはつきりわかりません。われわれの予想では五千町歩以上は越すと思つております。実際今度五千町歩以上になるという見込みがつけば、関係方面と折衝したい。こう思つております。
○里見説明員 第二の点につきまして、やはり栽培する人数は十人とか二十人でよろしいのでありますが、一畝くらいを一つの單位としてやりたいと思つております。
○金子委員 その問題は、あなたは実際の百姓の状態を知らぬからそういうことが勇敢に言われるのですが、それは非常に困ることなんです。この麻は屋敷わきの風の当らぬところに農家がまくと、一年中纎維に対する現金支出をしなくてもいい。そういう関係でつくられでおるのであるから、取締上一つの部落なり町村の責任者の名において、この部落においてこれ以上つくつておらないということと、責任者の名がはつきりしておつたら、それで許可したらどうか。これは私の意見になりますが、ちよつとお伺いします。
○星野政府委員 確かに麻薬取締りの監督から、あまりに分散し、あるいは小さな所では困るというようなことも言えると思います。私もかつて麻の栽培地におきまして、県庁で麻薬関係の仕事をやつておつたこともございます。今後御意見等は十分尊重いたしまして、栽培者の便宜も考慮いたしまして、なお取締りの観点からも、できるだけ努力をいたしまして、取締りの行われるように研究して参りたいと思つております。

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