弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻取締法の生い立ちを考える・その9−大麻取締規則の罰則

<<   作成日時 : 2008/09/20 23:20   >>

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昭和22年(1947年)4月23日に公布された「大麻取締規則」の最後の条項は、罰則に関するものです。

○ 大麻取締規則
第二十六条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処し、又はその刑を併せ科する。
一、第二条、第四条、第十条第二項、第十四条第一項、第十五条第一項、第十七条第二項、第十八条、第二十条、又は第二十一条の規定に違反した者
二、第九条の規定により、提出した申請書その他に虚偽の記載をした者及び第二十一条の規定による用紙に住所地、氏名その他に関して虚偽の記載をした者
三、第十九条の規定に違反して、帳簿に記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者又は同条の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者
四、第二十二条の規定による指示に違反した者
五、第二十四条の規定による処分又は第二十五条の規定による当該官吏の臨検、検査若しくは収去を妨げ、拒み若しくは忌避した者
第二十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても前条の罰金刑を科する。
  附 則
この省令は、公布の日から、これを施行する。

そもそも、この法令は、第2条で何人もしてはならない禁止事項を定め、そのほかの条項は、大麻取扱者に対する禁止事項と、大麻取扱者がしなければならない義務を定めています。つまり、この法令をもって取り締まる主な対象は、大麻取扱者の免許を得ないで大麻を栽培することと、免許を得た大麻取扱者が登録や報告などで規定違反をすることにあったわけです。当然、罰則を定めて厳しく取締っている内容の大半が、大麻取扱者の登録、報告に関するものになっています。

違反者に対する罰則は、三年以下の懲役又は五千円以下の罰金というもので、昭和20年11月に出された厚生省令で定めた罰則と同じものです。懲役刑に関しては、この水準が、その後昭和23年に制定される大麻取締法に引き継がれます。また、同年に制定される麻薬取締法においても、懲役刑の水準は、ほぼ同程度になっています。

しかし、問題は法執行の機関です。大麻栽培者の登録や監督を行うのは、各県の麻薬担当官吏ですが、大麻取締規則にもあるように、彼らは臨検し、検査し、必要な場合は収去することはできますが、違反者を逮捕することはできません。違反を発見した場合は、告訴、告発をすることになります。GHQが考えていたのは、麻薬取締に関して、警察と同じような逮捕する権限を持つ強力な機関を設けることだったようです。おそらくアメリカにおけるFBNのような。
大麻取締規則が交付された直後の(昭和22年)1947年5月、GHQ公衆衛生福祉局のWEEKLY BULLETINに、麻薬取締職員の逮捕権限について、GHQから具体的な指示が出されていたことが記載されています。実際に、麻薬取締官が司法警察員の職務権限を持つのは、かなり後年、昭和25年のことなのですが、この時点ですでにグランド・デザインができていたわけです。

GHQ公衆衛生福祉局のWEEKLY BULLETIN、1947年5月4日〜10日、第19号より
「厚生省、最高裁判所、及び内務省は、各省とSCAP関係部門の特別職員間の打ち合わせに基づき、麻薬取締官に対し、麻薬事案に限り、逮捕の権限を与える計画を進めるよう指示された。麻薬取締は個別地域の問題ではなく国家的な問題であり、厚生大臣の指示により、麻薬取締官が監督する統一的な手続が厳密に執行されることが保証されなければならない。」
GENERAL HEADQUARTERS SUPREME COMMANDER FOR THE ALLIED POWERS PUBLIC HEALTH AND WELFARE SECTION WEEKLY BULLETIN
杉田聡氏による復刻版に基づき、私が個人的に翻訳した者です。

なお、同じ号のWEEKLY BULLETINには、つぎのような記載もあります。
「厚生省及び農林省は、県の担当者に対して、登録された大麻栽培者が、植付の時期が到来しているため、免許証の交付を待つことなく、許可された地域での作物の植付を行うよう指示した。」

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