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「明日、警察の方が息子の部屋を見に来るというんですが・・・」狼狽した様子で電話してきたのは、覚せい剤の所持で勾留中のK君の母親です。 K君は、数日前に、深夜の都心繁華街で職務質問され、少量の覚せい剤を所持しているのがみつかり、逮捕されていました。両親にとっては寝耳に水の知らせで、母親は動悸がして眠れない日が続いているところへ、警察からの電話です。 薬物の所持や使用事件では、本人が自宅に薬物を隠し持っていたり、自宅で薬物を使っていることが多いため、多くの場合、犯罪が行われた場所や犯罪に関係した場所として、自宅の家宅捜索が行われます。 家宅捜索と聞くと、大勢の警察官が乗り込んできて、畳をめくり、床板をはがし、天井裏までくまなく調べ上げるような状況を想像して、不安を感じる方が多いのですが、青少年の薬物乱用事件の場合、そうした大げさな家宅捜索が行われた例を私は知りません。たいていは、本人が「この机の引き出しに入れてあります。」「ここで覚せい剤を吸いました。」などと供述する場所を調べ、写真をとり、念のために乱用者が薬物を隠していそうな箇所を開けて確認する程度です。 K君の母親は、私の説明に少し安心しましたが、今度は別な不安が頭をかすめます。「パトカーで来られたら、ご近所に目だってしまって・・・」 だいじょうぶです。警察車両のほとんどは普通の車で、個人宅の捜索に出向くのに、パトカーを使うことはまずありません。また、制服の警察官が来ることも、まずありません。こうしたケースでの家宅捜索では、目立たない普通の車で、私服の警察官が数名やってくるのが普通です。 なお、家宅捜索や関係先の検証などに、勾留中の被疑者を立ち会わせる場合もあります。被疑者を連れて出る際には、手錠・腰縄をつけるのですが、人目の多い公道などへ連れ出すときには、警察官は、上着やコートなどで手錠・腰縄をカバーして、被疑者のプライバシーを守らなければならないのです。被疑者は、犯罪を行ったという疑いで捜査対象になっていますが、犯罪者と決まったわけではありません。犯罪者として取り扱うことはもとろん、ことさら犯罪者をイメージ付けるような取り扱いをすることも許されていないのです。 さて、K君の母親から、翌日報告の電話がありました。3人の警察官がやってきたのですが、物腰もおだやかで、母親の心痛を理解してくれ、捜索そのものは1時間半ほどで終わったとのことです。 |
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