弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 改めて大麻を考える その2

<<   作成日時 : 2008/05/03 23:06   >>

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国連薬物犯罪局(UNODC)の『世界薬物報告書2006』第2章、CANNABIS: WHY WE SHOULD CARE を読みながら、改めて大麻について考えています。

「はじめに」の部分で、同報告が提起する問題の第1は、大麻使用が世界中に広まっているのに、その実態の正確な掌握が遅れているという点です。
まず、栽培の実態が把握されていない点。麻薬原料植物として規制されているコカ葉やあへんけしに関しては、国際的な監視体制が敷かれており、地域ごとの栽培面積や推定生産量が具体的に掌握されており、製品の流れもわかっています。
同じ『世界薬物報告書』の2007年版によれば、乾燥大麻の推定生産量42,000トン。世界のあらゆる地域で生産されています。しかし、これは実態の一部に過ぎないと、同報告は指摘します。
画像

グラフは国連薬物犯罪局(UNODC)編『世界薬物報告書2007』98頁より転載

「他の薬物関連の作物と違って、屋内栽培を含めれば、大麻は実際にどこでも栽培可能であり、大麻の栽培が行われていないと断言しうる国はごく少ない。さらに、大麻は栽培しやすく、かつ極めて生産性が高く、植物から多量の「そのまま使用可能な」薬物を収穫できる。その結果、多くのユーザーが自らの使用分を生産することが可能であり、実際に実行している。衛星監視などの現行の不法薬物監視の手法は、世界中に広まっている個人の住宅や地域の小規模な場所で行われる栽培を推定するのには、ほとんど役に立たない。加えて、ユーザーが購入し、消費する正確な量のような、大麻使用の基本的な側面に関する疑問も、いまだ解明されていないのである。」
国連薬物犯罪局編『世界薬物報告書2006』第2章 155頁
http://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/WDR-2006.html

問題の第2点は、大麻そのものが変わってきているという点です。
品種改良を重ね、栽培法を工夫した結果、従来品のおよそ倍の精神作用成分を含んでいる大麻が生み出されていると、同報告は伝えます。

欧米社会が大麻に対する法規制を採用し始めた初期のころ、大麻に対する社会の見方には少なからぬ偏見が含まれていました。その後、1970年前後には、大麻の健康影響に関する科学的な研究が積み重ねられ、迷信や偏見は修正されてきました。
同報告は言います。
「大麻に関する初期の資料が、現在では不正確なものだと考えられているのは事実であり、さまざまな国での一連の研究が、大麻に向けられた非難の多くを晴らした。しかし最新の研究によれば、振り子は逆方向に大きく揺れすぎたかもしれないと示唆している。」
前同書156頁

少なくとも西欧社会では、大麻は他の薬物と違うという一般的な理解がほぼ出来上がっています。その結果、同報告が冒頭で言うように、法律上の規定にかかわらず、大麻事犯に対する事実上の罰則が極めて軽いものになってきているわけです。
しかし、これは少し行きすぎかもしれないと、同報告書は改めて問題提起をしています。
従来の大麻と違う、つまり他の薬物なみの強い作用を持つ、「新大麻」が登場していることで、大麻の健康影響についても、改めて検討する必要があるのではないかと説くのです。

「はじめに」の概要はこんなところです。
次回は、具体論の部分を読み進めます。

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国連薬物犯罪局(UNODC)の『世界薬物報告書2006』第2章、CANNABIS: WHY WE SHOULD CARE を読みながら、改めて大麻について考えてきましたが、今回は「結論」部分を取り上げ、この連載を終了します。 ...続きを見る
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2008/06/01 23:35

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