弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 改めて大麻を考える その1

<<   作成日時 : 2008/05/02 23:29   >>

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国連薬物犯罪局(UNODC)の『世界薬物報告書2006』第2章、CANNABIS: WHY WE SHOULD CARE を読みながら、いま改めて大麻について考えてみたいと思います。
まず、同報告の冒頭部分を私の私的な翻訳で引用します。

2.1 Introduction はじめに
「国際社会は大麻に関して混乱している。いっぽうでは、1961年の麻薬に関する単一条約において、大麻はヘロインやコカインと同一に位置づけされており、事実上世界のあらゆる国家はこの条約に関係している。しかし他方では、多くの国において大麻事犯は他の麻薬関連のものと比べてはるかに寛大に扱われている。このように矛盾したメッセージが大衆に発信されており、一般大衆の意見が混乱しているのも無理はない。」
国連薬物犯罪局編『世界薬物報告書2006』第2章 155頁
http://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/WDR-2006.html

国際的な薬物規制は、1912年の国際阿片条約から始まり、その後、各国の間で多数の国際条約、協定が結ばれていました。1961年、これらを統一してより実効性の高いものにしたのが「1961年の麻薬に関する単一条約」で、その後の国際的な薬物規制の基準として現在に至っています。
その規制対象はスケジュール1から4の4段階に規制レベルを分けていますが、最も厳しく規制されるスケジュール1には、ヘロイン、モルヒネ、コカインなどと並んで大麻もあげられています。
1961年の麻薬に関する単一条約は、同じUNODCのサイトにあります。
http://www.unodc.org/pdf/convention_1961_en.pdf

この条約は、締約する国に対して、条約に違反する行為を犯罪として処罰するよう求めています。この条約に従うなら、大麻に関する違反行為には、ヘロインやコカインと同様の罰則を科すことになるのです。150カ国以上の締約国では、大麻を法規制の対象とし、違反に対して、法律上はある程度厳しい罰則を定めています。
しかし現実は、上記引用文のとおり、他の麻薬に関する違反と比べて、処罰は「はるかに」ゆるやかなものであり、大麻事犯の一部に対しては、事実上、刑罰を科すことを回避している例もあります。

同報告は、現在の大麻をめぐる状況は、「こうした矛盾に直面するというより、むしろグレーな領域にもぐり込んでしまっている。法律上は違法でありながら、優先事項からはずされ、他のものをしのぐ勢いで普及し、同時に、法を犯してもかまわないと思う人たちを富ませている。大麻をめぐって、世界的な盲点が形成されている」と分析します。
法律上での厳しい規制と、実際上のゆるやかな取り締まり、こうした矛盾や混乱をスタート地点として、大麻の法規制をめぐって多くの議論がされてきました。しかし、こうした議論を飛び越えて、問題を内包したままで、大麻の消費は拡大している。たしかに、これが現実なのかもしれません。

次回へ続きます。

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国連薬物犯罪局(UNODC)の『世界薬物報告書2006』第2章、CANNABIS: WHY WE SHOULD CARE を読みながら、改めて大麻について考えてきましたが、今回は「結論」部分を取り上げ、この連載を終了します。 ...続きを見る
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2008/06/01 23:35

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