弁護士小森榮の薬物問題ノート

アクセスカウンタ

zoom RSS 改めて大麻を考える その16

<<   作成日時 : 2008/05/24 23:37   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

国連薬物犯罪局(UNODC)の『世界薬物報告書2006』第2章、CANNABIS: WHY WE SHOULD CARE を読みながら、改めて大麻について考えています。

●脳の機能変化は運転に影響を与えうる
大麻の作用には、反応時間の遅れ、協調運動の障害、短期記憶の減失、集中力の欠如、および問題解決の遅れなどが含まれていて、自動車の運転に影響を与えそうです。1997年のWHOの報告書は、大麻を使用して24時間は運転に関係するさまざまな能力に影響を与えうるとしていますが、実はこの問題に関しては、いまだに両論が相半ばして結論が出ていません。大麻が運転能力に及ぼす影響が問題になるのは、DUI( driving under the influence of alcohol or other drugs)との関連があるからで、大々的な議論が行われています。

争点のひとつは、判定方法です。我が国の道路交通法を例にして、わかりやすく説明してみましょう。酒気帯び運転を規制するには、違反の規準となるアルコールの量が厳密に定める必要があるので、道路交通法施行令で「身体に保有するアルコールの程度は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとする。」と基準を数値で示しているわけです。おなじみの呼気検査によって、極めて手軽に誤差の少ない判定が可能になっていることも、重要な条件です。

いっぽう大麻使用の判定は、普通、尿検査で行います。大麻の主要成分であるデルタ‐9THCは、人の体内で代謝され、デルタ‐9THC11‐カルボン酸およびその抱合体となるので、尿中のデルタ‐9THC11‐カルボン酸を検出するのが、この検査です(日本薬学会編「薬毒物試験法と注解2006」184頁、東京化学同人(2006))。
ところが、尿中に大麻の代謝物が確認されたとしても、それがいつ摂取されたものか特定することが、大麻の場合、かなり困難なのです。

『世界薬物報告書2006』から引用します。
「この分野での研究は、この薬物が代謝される過程によって複雑なものになる。THCは脂溶性で、血中から速やかに脳や他の器官へ移行し、THCとその代謝物はそこに長期間とどまり、緩慢に排泄される。したがって、尿中の大麻代謝物の検出は、対象者が最近において大麻を使用したと立証するのに役立つだけであり、試験時点で作用を受けていたことが立証されるわけではない。またアルコールと異り、血液検査でさえ、とくにTHCではなく代謝物を測定する場合には中毒レベルを示す信頼度の高い基準とはならない。おそらく部分的にはその結果として、この分野での研究の結論は対立したものになっている。」
国連薬物犯罪局編『世界薬物報告書2006』第2章 180頁
http://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/WDR-2006.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
改めて大麻を考える その16 弁護士小森榮の薬物問題ノート/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる