弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 改めて大麻を考える その11

<<   作成日時 : 2008/05/14 00:43   >>

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国連薬物犯罪局(UNODC)の『世界薬物報告書2006』第2章、CANNABIS: WHY WE SHOULD CARE を読みながら、改めて大麻について考えています。

第3節 The emergence of ‘new cannabis’and the reassessment of health risks
●「新大麻」は過去10年で効力を2倍に高めた  を続けて読みます。

これまで、何回も、「大麻の効力、英語ではpotency of cannabis」という言葉を使ってきました。ところで、大麻の効力とは、どのように決めるのでしょう。同報告書は、「伝統的に、大麻の効力は、デルタ-9THC量またはTHCの総量によって、他の精神作用効果のあるカンナビノイドとは無関係に、決められる。しかしながらTHCは、多数の精神活性のある化合物のひとつに過ぎない」といっています。

前にも触れたことがありますが、大麻の効力を時系列で調査した研究として、アメリカのミシシッピ大学のMarijuana Potency Monitoring Projectと、欧州薬物及び薬物乱用監視センター(EMCDDA)によるAn Overview of Cannnabis Potency in Europe,(2004)があります。
ミシシッピ大学の研究については、残念ながらその報告書を私は読んでいませんが、アメリカの国家薬物統制事務所(ONDCP)のサイトに最近の研究結果が発表されているものによれば、この研究でもTHCの量を取り上げています。
ONDCP PRESS RELEASE: April 25, 2007
http://www.whitehousedrugpolicy.gov/news/press07/042507_2.htm

いっぽう、欧州薬物及び薬物乱用監視センターの研究報告は、インターネットで読むことができます。その20ページに「以下の報告では、乾燥大麻と大麻樹脂のTHC量だけを考慮する」とあり、やはりTHCの量で大麻の効力を決めています。
http://www.emcdda.europa.eu/attachements.cfm/att_2950_EN_insights6web.pdf
画像


しかし、大麻の成分として60種以上のカンナビノイドが確認されているといいます。デルタ-9THCは、大麻の精神作用の中心成分といわれますが、他の成分との相互作用について、まだ解明されていない点もあるようです。
『世界薬物報告書2006』に、興味深い文章があるので、引用します。

「カンナビジオール(CBD)は、とくにTHCの効果を‘和らげる’と信じられており、緊張緩和を促進し、抗精神病作用を持っている可能性もある。そうすると、シンセミアは典型的にCBDのレベルが低く、その伸びは、大麻体験の性質を変化させつつあるのかもしれない。将来的には、THCとCBDレベルの両方を追跡するのが賢明であると思われる。」
国連薬物犯罪局編『世界薬物報告書2006』第2章 174頁
http://www.unodc.org/unodc/en/data-and-analysis/WDR-2006.html

2008年11月27日加筆
大麻の成分として60種以上のカンナビノイドが確認されている と書きましたが、確認済みのカンナビノイドはもっと多いのかもしれません。
ある文献によれば、大麻には600以上のカンナビノイドが含有されている、とあります。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰しております。
一部抜粋とはいえ、なかなか興味深く読ませていただきました。もっとも、私はそれに対するNGOのステートメントも読んでいますので、報告書の内容は、ちょっとお粗末というのが感想です。
気になったのが「新大麻」という表現です。1970年以前のものよりも強力になっている、とのことですが、では大麻の有害性が低いという結論を導きだした研究や調査などは、全て1970年以前のものなのか、あるいは、対象とした大麻が30年近く保存していたものなのか、ということになってしまいます。
実はそれはでたらめです。アルコールは5%であろうと40%であろうとアルコールです。大麻の場合、その成分が2%10%20%だとどうだというのでしょうか。低いと害が少なくて高いと害が多いのでしょうか。そこが明確になっていないようです。
日鷲
2008/05/16 18:00
ちょっと疲れて中断していますが、この連載はまだ続きがあります。とはいえ、健康影響の再評価については、実は、まだあまり明らかになっていないようです。関連文献を探して、当分はこの問題にこだわってみようと思っています。反論も歓迎します。
ところで、Myths&Factsの件、おっしゃるとおり。本家のほうも読んでますよ。
小森 榮
2008/05/17 01:25
久しぶりにも関わらず、ご挨拶もそこそこで恐縮です。
昨今欧米でみられる薬物問題会議など、日本ではまったく雲の上の話しで、注目してくれるところは、小森さんのところを除いてほとんど無いようです。そういう意味ではとてもためになります。
とはいえ、立場上、私の仕入れた資料からの意見も補足的に述べさせていただきたく思います。個人的には、双方の意見で充実し、問題がより明確になるのでは、と考えています。
これからもよろしくお願いします。
日鷲
2008/05/17 10:42

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