弁護士小森榮の薬物問題ノート

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zoom RSS 大麻の種子に関する規制

<<   作成日時 : 2008/01/21 23:21   >>

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大麻取締法は、その規制対象から「大麻草の種子及びその製品」を除外しており、平成3年の改正で、この部分が明記されたというのが、前回の内容でした。
ところが、同じ平成3年の改正で、逆に「大麻草の種子」に対する規制が追加された部分があります。それが、資金等提供罪と呼ばれる次の条項です。

第24条の6  
情を知つて、第24条第1項又は第2項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料(大麻草の種子を含む。)を提供し、又は運搬した者は、3年以下の懲役に処する。

なお、第24条 1項というのは、大麻の栽培、輸入、輸出罪に7年以下の懲役刑を定めたもので、第2項はその営利犯に関するものです。つまり、栽培罪、輸入罪、輸出罪などに利用されるとわかっていながら、その資金や設備などを提供した者に対する処罰を定めた内容で、平成3年の改正時に、とくに(大麻草の種子を含む。)と明記されたのです。

この内容は、わが国が国連条約を批准したことによって、法に盛り込まれたものです。麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約がそれで、麻薬等の国際取引に対する取締りを強化するために国連で採択されたものです。わが国は平成4年にこれを批准しましたが、その準備として、処罰範囲を拡大する改正が行われたものです。

条約は、麻薬・向精神薬の生産や販売、輸送などをすること、麻薬を生産するためにけし、コカ樹、大麻植物を栽培すること、また麻薬又は向精神薬の不正な栽培、生産又は製造のためと知りながら資金等を提供することに対して、犯罪として対処するよう、締結国に求めているのです。
もちろん、この条約を締結する以前から、わが国では麻薬などを製造・販売することは犯罪とされていましたし、輸送などに手を貸す者は、共犯として厳しく罰せられてきました。しかし、資金や器具を提供することを犯罪として扱うという点は、あいまいだったため、平成2年に新しい条文が追加され、さらに平成3年にその意味を明確にするために、「車両、設備、機械、器具又は原材料(大麻草の種子を含む。)を提供し、又は運搬した」という具体的な記載がされたのです。
条約の該当部分を読んでみましょう。

麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(平成4・8・28・条約6号)
第3条 
1 締約国は、自国の国内法により、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な措置をとる。
(a) (i) 1961年の条約、改正された1961年の条約又は1971年の条約の規定に違反して、麻薬又は向精神薬を生産し、製造し、抽出し、製剤し、提供し、販売のために提供し、分配し、販売し、交付(名目のいかんを問わない。)し、仲介し、発送し、通過発送し、輸送し、輸入し又は輸出すること。
(ii) 1961年の条約及び改正された1961年の条約の規定に違反して、麻薬を生産するためにけし、コカ樹又は大麻植物を栽培すること。
(iii) (i)に規定する行為のために麻薬又は向精神薬を所持し又は購入すること。
(iv) 麻薬又は向精神薬の不正な栽培、生産又は製造のために用いられることを知りながら、装置、原料又は付表I若しくは付表IIに掲げる物質を製造し、輸送し又は分配すること。
(v) (i)から(iv)までに規定する犯罪を組織し若しくは管理し又はこれらの犯罪に資金を提供すること。

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麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約(平成4・8・28・条約6号)
第3条
2 締約国は、自国の憲法上の原則及び法制の基本的な概念に従うことを条件として、自国の国内法により、1961年の条約、改正された1961年の条約又は1971年の条約の規定に違反して麻薬又は向精神薬を個人的な使用のために故意に所持し、購入し又は栽培することを犯罪とするため、必要な措置をとる。

という規定もあり、わざわざ「自国の憲法上の原則及び法制の基本的な概念に従うことを条件として」と記述した上で、第3条1 による規定と分離した形で、個人的な使用のための栽培について規定してある点に留意すべきではないでしょうか。

また、第3条
4 (d) 締約国は、2の規定に従って定められる犯罪につき、有罪判決若しくは処罰に代わるものとして又は有罪判決若しくは処罰のほかに、犯罪者の治療、教育、後保護、更生又は社会復帰のための措置を講ずることができる。

という規定もあります。これらの規定は何に対して配慮したものなのでしょうか?

弁護士という職業の本分に立ち戻って考えてみてください。
野中
2008/01/26 02:33
不慣れで、コメントがあることに気づきませんでした。
ご意見をありがとうございます。
ご指摘の第3条(a)については、法文の解釈とは別に、私もあれこれ考えています。つまり、ダイヴァージョンという解決について。ダイヴァージョン論は、いずれまた、書きます。

小森 榮
2008/01/27 05:39
小森先生のダイヴァージョン論、とても興味を惹かれます。
私は、大麻や薬物乱用問題の解決の方策の一つとして、国際条約による大麻の規制の見直しを求めるアプローチを模索しています。
容易なことではありませんが…。
野中
2008/01/28 00:07

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